顧問ザビー、部長2年3組毛利元就、副部長2年3組長曾我部元親、部員2年2組明智光秀、2年2組風魔小太郎、1年1組織田市。

手に持った紙に書かれている文字列を見て、伊達政宗は怪訝そうに眉根を寄せた。



燃え上がれ、濃いの駆け引き編



「どう思う?」

「Crazy!……としか言いようがねぇな」

竹中半兵衛からの問いかけに政宗は両手を上げながら答えた。心の底から呆れ返ったような声音である。

ここはBSR学園高等部の生徒会が本拠としている部屋――いわゆる、生徒会室である。小綺麗に片付けられた机や書類棚が整然と並んでいた。その中でも、一際大きく豪奢な机に人が集まっていた。

椅子に腰掛けているのが、生徒会長である伊達政宗。その傍らに立っているのが、副会長の竹中半兵衛。更にその隣で机にもたれ掛かっているのが、会計の猿飛佐助。

この場にはいないが、生徒会の役員はあと2人ほどいる。会計補佐の真田幸村に書記の前田慶次だ。これら5人の役員によってBSR学園高等部生徒会は運営されている。

「とても率直な感想だね。僕は面白いと思ったけど」

半兵衛はクスクスと笑いながら紙を受け取った。この紙は部活動の認可申請書である。申請者は勿論茶道部の部長の元就だ。

半兵衛の持っている申請書を覗き込んだ佐助も、政宗と同じように呆れた表情をする。よくまぁこんなに濃い面子を集められたもんだ、と口にはしないが政宗も佐助も同じことを考えていた。

「面白いってことは、許可出しちゃうワケ?この変態茶道部に」

「決めるのは会長だよ。僕は所詮副会長だからね」

佐助の質問に、半兵衛は政宗を見ながら答えた。副会長という言葉を殊更強調して。

政宗は憮然とした表情で、椅子の背にもたれ掛かった。半兵衛の含んだような言い方が気に入らないらしい。

「よく言うぜ。全部アンタが裏で糸を引いてる癖に」

「人聞きの悪いことを言わないで欲しいな。せめて優秀な参謀と言ってもらいたいね」

皮肉を返す政宗に、心底心外だと言わんばかりの口振りで半兵衛は答えた。

政宗の言うことは間違っているわけではない。

今期の生徒会役員を集めたのは、この半兵衛である。自身は副会長という、ある程度自由の聞く役職に就き、水面下で生徒会の諸活動をコントロールしているのは事実なのだ。

全ては生徒会顧問教師である豊臣秀吉のためであった。半兵衛の目的は、個人的ヒエラルキーの中で頂点に位置する秀吉をサポートすること――即ち、秀吉に労をかけず、生徒会の活動を滞りなく円滑に進めることである。そのために必要な人材として、政宗も佐助も幸村も慶次も声を掛けられたのだった。

政宗は校内で男女問わず非常に高い人気を誇っている人物であった。由緒正しい旧家の嫡男という申し分のない経歴、10人に聞けば10人が良いと答えるであろう容姿、そして、人を惹き付けるカリスマ性。

組織の頂点に立つ者に相応しい条件を兼ね備えた政宗に、白羽の矢が立ったのは当然のことと言えよう。

政宗以外の役員も同じような理由で集められた。佐助はその金銭管理能力の高さを買われた。幸村はムードメーカー的存在として呼ばれた。慶次は用心棒兼鉄砲玉として誘われた。皆、校内でも人気の高い者ばかりである。

こうして発足した生徒会は、高等部のみならず学園全体で有名となり、強大な権力を発揮することとなった。

「会長として認めるのか認めないのか、と言われたらどうかな?」

「ま、面白そうだし良いんじゃねぇか?アンタの言うようにさ」

半ば投げ遣り気味に政宗は答えた。政宗の行動原理は面白いか、面白くないかの2つである。面白そうなことならば何でも手を出すし、逆に面白くなければ全く見向きもしない。

半兵衛に請われて面倒そうな生徒会長なんて役職に就いたのも、面白そうだったから、というのが理由だったりする。

だから、校内の変人を煮詰めて凝縮したようなクレイジー茶道部であっても、傍から見る分には面白そうなので許可しても良いと思うのだ。

それに、悪友とも呼べる関係の元親が所属しているのも大きかった。あの一風変わった幼馴染みに巻き込まれる形で無理矢理入らされたのだろう、ということは容易に予想出来た。そこで公式の部活として認めて、その苦労する姿をからかうのも悪くないと思っていたりする。

「そう言うと思ったよ」

政宗の返事に、半兵衛は笑みを浮かべた。想像していた通りの答えが返ってきたことに満足げな様子だ。

「でもね、面白いだけではなくて危険でもあるのだよ、この茶道部は」

続く半兵衛の言葉に、政宗も佐助も驚いて視線を向ける。

先ほどの質問も、全てはあるこの言葉に誘導するための布石だったらしい。

ゆっくりと窓際に向かって歩きながら、半兵衛はその危険について説明し始めた。



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