フォイアル♀

※イメージとしては1章から2章の間くらい。
フォイフォイのあの口調を再現するの諦めました。それでも大丈夫な方のみどうぞ↓










勇者から転職して執事として城で寝泊まりする日々
上司が上司なだけに結構毎日ぐだぐだ、とまではいかないがそれなりにのんびり過ごしている。
業務の傍らに自分より若い、そして弱い勇者を強くするために特訓に付き合っていたそんなある日。

日が暮れて城の住人もほとんどが寝静まる頃
この日に何かがあったのか…いや何もなかったのかもしれない
メイド長のアレスに呼ばれて部屋を訪れると


「あ〜ふぉいふぉい〜」

先ほど述べたオレが日中に特訓をしている勇者・アルバがべろべろの状態で座っていた。

アレスに話を聞くと、アルバがお酒に興味あると言ったらしく、試しに飲ませてみたら
べろんべろんに酔っぱらってしまったらしい。
どうせ彼女のことだからもういいと言ったアルバにさらに飲ませたのだろうが
いまここでそれを言及するより自分に引っ付いてくるアルバをどうにかする方が先決だと判断し
今しがたアルバにあてられている部屋についたところだ。
普段城に居ること自体が珍しいアルバは基本的に部屋に鍵をかけない。

部屋に入ると備え付けられているベッドと机、後はアルバが旅に行くときに持ち歩く鞄しかない。
盗むものも特にないから、鍵をかける必要がないのだと彼女は言っていたが、
正直今ほど助かったことはなかった。



彼女をベッドに座らせ、離れたくないと嫌がる手を離させて
毎日メイドがそれぞれの個室に運んできている水をコップに入れる

コップを彼女の前に差し出すと、素直に飲みだした。
その様子にもう大丈夫だろうと、異性の部屋に長いすることはないと部屋を出ようとすると左腕に体温を感じる
続いてやわらかい何かが腕に押し付けられる感覚が伝わってきた

「なっ」
「ふぉいふぉい、どこいくの?」

酒のせいで上がった体温がまだ下がりきっていないせいで彼女の顔はまだ真っ赤だ。
加えて瞳に涙をためていて、とてもエロイ。

「オレは部屋に戻るから、お前はもう寝ろ」
「うー…」

せめて腕に抱き着くのだけでもやめさせようと思うのだがうまくいかずに
さらにきつく抱き着いてきた。

「っアルバ」
「やらぁ…ふぉいふぉいといっしょにねらいぃ…」

呂律が回っていない口調が、普段から実年齢より幼く見せている彼女をさらに幼く見せており
正直今ならルドルフの気持ちが少しわかってしまいそうになる。

「寝たいってお前…どういうことかわかってんのか?」
「…?」

酒臭い彼女の足を払い、体制を崩したところを横抱きに抱える。
先ほど彼女を沈めたベッドに再び彼女を鎮めようとすると、首に彼女の腕が回って抱きしめられた

「アルバ、腕離せ」
「うー…やらぁ…はにゃしたりゃ、かえるんれしょー…」

酔っ払いってここまできちんと受け答えできるものなのかと少し疑問に思うが
今のオレにはそんな余裕なんてない

自分の戦士の為に、がんばる彼女にいつの間にか心が惹かれていた。
自覚したのは割と早かったと思うが、すでに彼女の中は奴でいっぱいだ。

オレじゃない、他の男の事でいっぱいいっぱいだ

他の男の為にがんばる彼女に惚れたのだから仕方がない事、そうあきらめていたのだが
こんなことをされると今まで保っていた理性が、欲望が、想いが溢れ出しそうになる。

いつもより距離の近い彼女に口づける
嫌がられるかとも思ったが、拒絶されるどころか首に回された腕に力が籠められた
口を、彼女の腕を話ベッドへと押し倒すと、とろんとした目でこちらを見上げてきた

「ふぉい、フォイ?」
「もう寝ろ、酔いが回っておかしくなってるんだろ」
「ちがぁ…」
「違わねーよ、お前が求めてるのは…オレじゃないだろ」

そう告げると彼女の瞳が大きく見開かれた
自分で墓穴を掘っている自覚はある
しかも、あんなことをした後だ、彼女の軽蔑されてもおかしくない

「じゃーな、おやす――」

ぼすん!
部屋から出ようとベッドから離れると、後頭部に何かが投げつけられた
振り返るとどやら後頭部にあたったのは枕のようだった
文句の一つでも言ってやろうと枕を拾いアルバの方を見ると
ぼたぼたと色気もへったくれもなく泣いていた

「ふぉ、イフォイ、のバカ!何っ言って…!」

このまま泣かせていると眼球まで落ちてしまうんじゃないかとおもぐらい泣いている彼女に近づくと
涙を流しながら睨まれる

「アルバどうし…」
「オレじゃないってなんだよ!いくらっ酔ってるからって!好きな人を間違えるわけ、ないっ」

その言葉を聞いて近づいていた足を止める
酔ってたんじゃ間違えてもノーカンだと思うとか、正直いい思いをできたオレとしては
間違われても文句言えないというか

「なら…いくら会えなくてさびしくても、他の男にこんなことするな」
「すりゅ…わけない、だろ」
「現にしただろ」
「今の、はっちがう」

意味が解らない。
彼女の顔を見ると、怒ってるのか、泣いてるのか、苦しいのかわからない顔でこちらを見つめてくる

「アルバ…?」
「まち、がえてない…いくらぼくでも…なんとも思ってない人にあんなこと、しない、よっ」

今度はこちらが目を見開く番だった、彼女は、アルバはいったい何を言っている…?
すっかり酔いが覚めてしまったのか、初めとは比べ物にならないくらいしっかりとした口調だ

「戦士は、ロス、は…確かに大切な人だし、あいつの助けになりたい、けど
 あくまでロスは、大切な友人で、パートナーっていうだけで…
 ぼ……ぼくが好き、なのは」

さっきまでの威勢はなんだったのか、耳まで赤くしてうつむいてしまったアルバをベッドの脇から見下ろす
声をかけるとアルバの肩が跳ねた

「つまり、その…あー……アルバ」
「…っなに」
「……オレの自意識過剰じゃないなら、お前は…いや、オレからいうべきだ、よな」

好きだ

そう伝えるとまだ酔っていた名残なのか、うれしいのか、顔を赤くして彼女特有のへにゃっとした笑みを浮かべて

ぼく、も

そういう彼女が可愛くて愛しくて、彼女の細い体を抱きしめた。






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