忍者?と

 

一日目の夜、ちょっとアレなことが起きてから二日目は特に問題なく過ぎていき
3人で牢屋に入れられて3日目の昼

戦士がデュクシ!といいながら脇腹をチョップしてくる
ということ以外平和だ

「何するの!?」
「え?ヒマだから」
「ヒマだから?大の大人がヒマだからデュクシ!?
 もうちょっとおとなしくしててよ…忘れてるかもしれないけど
 ぼく、アバラヒビ入ってるんだからね」
「アバラ?勇者さん、まだそのネタにしがみついてるんですか?」
「ネタ!?」

開いた口がふさがらないとはこのことだろうか。
ネタじゃないでしょ?この痛みはネタじゃないはず…!

「一度うけたからっていつまでもしがみついてんじゃないですよ
 なんですか?アバラキャラポジでも狙ってるんですか?」
「アバラキャラって何!?狙ってないよ!」
「え、もしかしてお色気キャラ狙ってるんですか?
 あはーんうふーんな展開があるとでも?」
「狙ってないし思ってないよ!何言ってるの!?」
「はぁ…まったく勇者さんは…もうルキのゲート使って逃げましょうよ」
「ダメ!王様の使いがもうすぐ来るんだから、ちゃんと説明して誤解を解かないと
 ルキと一緒ってことが伝わってるんだから
 ルドルフさんが王様に事情を説明してくれているはず…
 なのにぼくたちは魔王に協力しているという理由で牢に入れられた…
 この件どう思う?」
「はい










 ちょーうけます、その服よく来てますよね、気に入ってんですか?」
「聞かなきゃよかった!」
「ロスさん!」

ロスに蔑まれているとルキが助け船を出してくれた


「ニゲルさんをいじめたらダメだよ!
 一番の負傷者なんだからね!ろくに戦闘に参加してないけども!」

というのは気のせいだったみたいで、遠回しにけなされてしまった

「そうですね、ちょっとした才能ですよね」
「いや!ぼく活躍したし!戦士を九死に一生から救ったし!」
「そうだね!ニゲルさんもがんばったね」

そういってぼくの頭をなでてくれるルキにお礼を…
ぼくの、頭を…?
ぼくは今立っていて、ルキの身長はぼくの肩以下だ
決して腰を落としているわけでも屈んでいるわけでもない
ルキの方を見ると腕が伸びていた

「なにこれ!?腕どうなってんの!?
 …どした?ルキ」

ハッとした顔をしながら腕を元の長さに戻すルキは大きな魔力が近くにあるのだという

「数値にすると魔戦闘力53万」
「え?最初からそんな大きな数字で大丈夫?
 53万ってどのくらいなの?」
「だいたい東京ドーム4個分だよ」
「なるほど」

え?とう…何?

「気を付けて、この規模の魔戦闘力を持つものということはおそらく
 12人の1人…」

ルキの言葉を聞き牢屋の外に意識を集中させると、薄暗くなっている廊下の奥から
鎖の当たる音と共に男の声が聞こえてきた

「おや?これはこれは、魔王ルキメデス様じゃありませんか…
 こんなところでお会いできるとは光栄の極み……でござる」
「ルキ…この人」

ござる…?

「こいつは――ヤヌア・アイン」
「っ!」

ヤヌアと言われた青年と目が会ったとたん背筋が凍ったような感覚が駆け抜ける

(何今の…見られただけで寒気が…)

これが存在するだけで世界に影響を与えるほどの魔力の持ち主





捕まってるけど…

(わ、悪い人じゃ、ないんだよ…?)
(アルバ、知り合いなの?)
(え?あ…えっと)


少なくても悪い人じゃないんだ
けどいい人でもなさそうなんだけどどうなんだろうか



「ヤヌアさん、隣に入れられたみたいだね」
「そうだね、お隣さんだね!」
「いや、それはどうだろう…意味が違う気が――」
「はいドーン!!」

ルキと話しているといきなりすぐそばの壁が粉々に破壊されて隣に入れられたヤヌアさんがいた

「いやはや、この世界のものはモロくて困りますね
 さっきもうっかりお店の壁壊しちゃってこのざまですよ」

壁を破壊するときに汚れたのかは定かではないが、埃を払うように手を鳴らすヤヌアさん

「気を付けて…あいつは忍術を使うよ!」
「忍術?」
「おやおや、魔王様に知っていて貰えるとは光栄の極みですね……でござる
 では挨拶代わりにひとつ、お見せしましょう」

そういうと自身の顔の前で両手を組むヤヌアさん
何をするのかと身構えてると、おもむろに右手を後ろに振りかぶる

「風魔…絶分…霧衣…腕分身の術!」
「小学生かぁ!!」

ゆるゆると腕を回転させたかと思うと勢いよくそのまま回しだす
す、すご…くないぞ…?

「ふふふ!どうです!?腕がいっぱいに見えるでしょう!」
「だから何!!??」
「っ!…脱臼した」
「もろい!回しすぎなんですよ!」
「忍法肩脱臼の術。」
「うそつけ!戦士ってば何ノってるの!?」
「まさか!玖術流最終奥義、肩脱臼の術を使えるのか!?」
「あるのかよ!最終奥義地味だな!!」
「さすがロスさんや!アンビリーバブルやで!」
「ルキのキャラ変わってる!!!あっ」

まさにカオス。
そしていちいち突っ込んでいたらのどが痛くなってきた

「…?勇者さ――」
「ふふ…肩を外したくらいで調子に乗るなよ…こんなもの
 病院に行けば治る!!」
「……っ!!!」(あたり!まえだ!!)
「まぁひとまず脱臼の件はおいておきましょう…
 ちょっとルキメデスさんにお願いがあるんですよ」
「断る!」

間髪入れずに拒否したルキとおもむろにヤヌアさんに近づく戦士
そして肩と手をつかみ引っ張る戦士とそれによって激痛が走って絶叫するヤヌアさん
痛がっているうちにいつの間にかルキが出していたゲートに戦士とルキによって押し込められる
やったー!一人封印したよー!
となぞの喜びの舞を踊る二人に、たとえ声が出ようともどうつっこんだらいいのか思い浮かばない

「ふふふ、だれが魔族の話など聞くものか…」

(なんかもう…好きにしたらいい…)
(ニゲル…放置はよくないと思うよ)
(でものど痛いし)

いまだにわーいと喜ぶ二人とみていると、閉じてなかったルキのゲートからヤヌアさんが叫び声と共にごろごろと出てきた

「うおぉぉぉぉおおおおおおおおおおだりゃぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」

ゴロゴロゴロゴロと転がり、自分が壊した壁のがれきに突進して止まった
肩で息をしながらこちらを振り返り

「に……忍法…力任せの術」

それ忍法って言わない




 

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