牢屋で

 


※今回の話について、人によってはR-18に相当するかもしれない内容が含まれております。
ただ原作のシーンも前半に入ってますので、飛ばして読まれるとこの先少々わからなくなるかもしれないと思い、作中に■のマークを入れさせていただきました
■マーク以降は人によってはR-18に相当するかもしれない内容となってますので
観覧は各自の判断で行ってください。読んでからの誤字脱字以外の苦情については受け付けませんので、あらかじめご了承ください。










「弱いモンスターはいいんだよ」

頭に付いている黒い羽をぴこぴこと動かしながら三代目ルキメデス
ルキは今世界に起こっていることに対して説明を入れていく

「一定のダメージを与えれば勝手に魔界に帰るから
 問題は魔力の強いやつら
 今回の件で魔力の高いヤツが12人、魔界からこっちに出てきちゃってる
 こいつらは私のゲートの能力で強制的に魔界に送らないといけないの」

説明しながらルキは自身の頭上で、あのスーツを着なければアバラにひびが入るゲートを出現させる

「今回はその12人が世界を崩壊させようとしてるのか?」
「ううん。たぶん12人に悪意はないよ」

戦士の質問にルキが即答する

「魔力の高い魔族は存在するだけで世界に影響を出しちゃうんだよ
 モンスターが湧いたり、世界に穴が開いたり」
「迷惑だね…」
「迷惑って!そんなヒドイこと言わないで上げて!!
 本人たちだって来たくて来たんじゃないんだよ!?私に召喚されただけなんだからっ!」

あれ、ぼくが怒られてる?
憤慨しているルキに何とも言い知れぬ感情が湧く。
え、でも元々の元凶って…

「お前はここにいても世界に影響はないのか?」

そうだるそうに聞く戦士に
大丈夫、私弱いから!
といい笑顔でいうルキ

「いやそんなことより、今問題なのは…」

三人とも牢屋に入れられているというこの状況だと思うんだけど

「いやー牢屋ってすることないですねー」
「でもこの牢屋おっきーから走り回れるね!」
「ルキ、走るとこけるよ?」

街について誤解を解く暇もなく、魔王の協力者という名目で三人仲良く投獄されてしまった。
…ふつう牢屋って男女分けるものなんじゃないのかなという疑問は残念ながら聞き入れてもらえない
戦士には

「勇者さん、そんなにオレと離れたいんですか?」

と言われルキには

「ニゲルさん、固まってた方が脱獄しやすいよ?」

と言われた。さすが10歳でも魔王…いうことが若干腹黒い。



















特にすることもないまま、看守が持ってきたご飯を食べ少し話をしていると、ルキがうとうとしだした

「うぅ〜…」
「ルキ眠いの?寝る?」
「うん…寝るぅ〜…」

ルキの体に合っていないぶかぶかの囚人服の袖で眠そうに眼をこする

「あーあーこすっちゃだめだよ。あっちに毛布あるからあっちに行こうね」

ルキの手を引いて牢屋の角にある毛布まで導く
人数分、3枚置いてある毛布を一枚広げてルキをくるむようにして頭を打たないように地面に寝かせる

無事に寝息を確認し残り2枚のうち1枚をもって離れた壁際に座っている戦士のもとへと行く

「戦士も、そろそろ寝るでしょ?はい毛布」
「あぁ、有難うございます勇者さん…ところで」

毛布を受け取ったのを確認してルキが寝ている場所に戻ろうと踵を返そうとすると戦士に声をかけられる

「ん、何?」
「いえそんな大したことじゃないんですが」
「そんなこと言われると気になるんだけど…」
「じゃあ言いますね、ズボン脱いで下さい」
「はぁ!?」
「大きな声出すと看守が来ますよ」

人が来るといわれたら黙るしかない。

「何言ってるの脱ぐわけないでしょ」
「でもそのズボン、だいぶぶかぶかですよね?気持ち悪くないですか?」

確かに、今ちょうど女性用の囚人服を切らしているとかなんとか
それでルキもぼくも男性用のある中で一番小さいサイズを着ている
にも関わらずルキはもちろんそでが余るしぼくも着れなくはないが、今にもズボンがずり落ちそうだし
服が肩からずり落ちそうなくらいだ

「裾の位置的にズボン脱いでもパンツ見えませんから、大丈夫ですよ」
「ぱ、パンツって…って言いながらズボンひっぱらないで!」
「そぉーれ!」
「掛け声軽っ!!??」

勢いよくずるりと落とされたズボン、いきなり外気に触れて背筋に悪寒に似たものが走る。
思わず戦士から離れようとするが、下されたズボンに足を盗られて後ろに倒れそうになる

衝撃を耐えようと目をギュッとつむるが背中の衝撃より先に腕を引っ張られる
ボスッという音と共に他人の体温を感じた

「何してるんですか勇者さん」
「っ!」

耳元で聞こえた低音に思わず体が跳ねる
同じ牢には自分と、ルキと戦士
ルキは先ほど牢の端で寝かしつけた、そして自分で自分の腕を引くなんてことはまずない
つまり

「あ、パンツ丸見えですね」
「いわ、ないでよ…」

ぼくの腕を引いた手も、後ろから前のめりへと倒れたボクを抱き留めたのも、このぬくもりも
全部戦士のものだ
それを認識した瞬間体中の熱が顔に集まる

「ちょ、と離して」
「いやです。」
「お願い、だから」

戦士の顔を盗み見ると戦士もこちらを見ていたらしく視線がぶつかる
背中に回された腕が腰に移動しぐっと引きよさられて先ほどより戦士と密着する形になる

「せんっ」
「先に謝りますね、すみません勇者さん」

何が
そう言葉にしたと思ったが、それは戦士の口の中に吸い込まれていった
切れ長の赤い目は閉じられいつもでは絶対ありえない距離に戦士の端正な顔がある

戦士に キス されてる ?

先ほどの非じゃないぐらいに顔が熱くなるのがわかる、戦士から離れようと彼の肩を押すが
頭は両手で固定されており、びくともしない。
だんだんと息苦しくなり酸素を取り込もうと口を開けるとそれを待っていたかのように戦士の舌が入り込んでくる

「んっ!?…ふっ、ん…っ」

侵入してきた戦士の舌から逃げるように自分の舌を動かすが、逃れられるはずもなく戦士の舌に絡め取られる

「…っなんか、エロイですね勇者さん」
「へ…?」

知らぬ間に口の端から垂れていた唾液を戦士がなめとる

「ちょっ戦、し」
「そんなにオレのキス、気持ちよかったですか?顔真っ赤ですよ」
「ち、がう、んっ」

先ほどのものとは違い触れるだけのキスを繰り返される
戦士にされているからだろうか、特別なことをされているわけでもないのにだんだん体が熱くなるのがわかる

いつの間にか戦士の右足をまたぐようにすわらされ、左手は腰に、右手は胸に添えられている
反応を楽しむのようにやわやわという刺激を与えられれば思わず声が出てしまう

「んぁ…っや、だ」
「安心してください、オレが責任持って大きくします」
「ぁ…ちが…っやぁ」

腰に回していた腕も胸に当てられ双方から刺激が与えられる
もう拘束されていないのに離れられないのは、本能がそれを嫌がっているからだろうか、場の雰囲気だからだろうか

どうにでもなれと思う一瞬前、小さなうめき声が牢屋に響き渡る

びくりと体を揺らし、この牢屋のもう一人の住人――ルキの方を見ると
怖い夢でも見ているのか寝ながら泣いているようだ

「る、き」

戦士の腕から逃げるようにルキのもとへと駆け寄るといつから泣いていたのか、頭の下に轢かれた毛布はすでにびしょびしょだった
泣いているルキを反射的に抱き上げ、赤ん坊のように揺らすと、少しずつ落ち着いてきたようだ
ルキが泣き止むころには戦士もそばに来ていて、はたから見たら、牢屋じゃなければ夫婦みたいに見えるのかと思うと恥ずかしい

ルキがくるまっていた毛布を変え、再び床に寝かす
膝をつき、踵にお尻を落として息を整える

(な、流されるところ、だった)

ルキが寝たあたりから親友は消えてしまったのかというほど表に上がってこなくて
彼女がぐずらなければもしかしたら…

「勇者さん」

すぐ近くから、心地よい低音が聞こえる

「も!もうしない!からね!寝るよ!!」
「はい、わかってます、だから一つだけ」

そういうと後ろからぎゅっと抱き着いてくる戦士に思わず身構えると、苦笑のような笑い声が聞こえる

「そんなに警戒しないでください、もうあんなことしません」
「へ」
「勇者さんがしてほしいなら別ですが、無理やりはもうしません、だから」

体をひねり戦士の方を向くと、思わず心臓が跳ねる
辛そうに眉をひそめたその顔は、普段の戦士からはまるで想像ができない顔だった

「勇者さん、今だけでもいいんで、オレの事名前で呼んでください」
「…え?なま、え?」
「はい…できれば、二人きりの時だけでも呼んでくれたらうれしいんですが」

今だけでも、大丈夫なので
そんな顔で、そんな声で言われたらいやだなんて言えない

「…ろ…ロ、ス」
「っ…はい」

泣きそうな顔をしながらギュッと抱きしめられる
不思議と羞恥は襲ってこなかった
ロス
彼の名前を呼ぶと、そのたびに泣きそうな声で返事をしてくる
今日は、どうしたんだろうか、いつもと違う戦士の態度に鼓動が早くなる


少しして満足したのか
すみませんでした
そういい先ほどの場所へ戻る戦士の背中を少しだけ見送り、自分もすぐに毛布にくるまる

毛布にくるまると先ほどの行為が脳裏をよぎり体が熱くなる
大丈夫、明日になれば、きっと戦士もぼくも、いつも通りにふるまえるはず

心の中でもう一度彼の名を呼ぶと、なんだかいい夢が見られる気がした。


 

[ 7/24 ]

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