戦士との出会い

 

ぼくは幼い頃からずっと一緒にいる、親友のような人がいる。
その人は実在する人じゃなく、ぼくの脳内、夢の中に居る友達だった
彼はぼくにたくさんのことを教えてくれた
世界の事、モンスターの事、知っていても誰にも言わずにいるようにと
お母さんにも、他の人にも彼の存在は言わない事、それがぼくと彼との約束でもあった。

お城に行き、そこである人と出会った瞬間が、ぼくのターニングポイント
人生の分かれ道だと幼い頃からずっと彼に言われてきた

そして今ぼくは伝説の勇者の子孫だろうと思われる人物の一人としてお城に居る
王様から勇者の証というものを受け取り、ぼく付きの王宮戦士、ロスに出会った

戦士に出会った瞬間、胸の奥から熱い何かがこみ上げてきた
これはいったいなんだろう。
彼が、戦士に反応したのだろうか、たまにこういうことは起きていたのだが今回は少し違う

(なん…だろう)
(?ニゲルどうかした?)

不思議な感覚に戸惑っていると彼が話しかけてきた。
人がいる場所ではよほどのことがない限り話しかけてこない彼が

(う、うん、なんでもないよアルバ)

そう伝えると、まだ少し納得していないようだけど、それ以上言及はされなかった。
防具を揃え、城下町から外へとでる

「…勇者さんは」
「ん?」

それまでほとんど会話が無かったのにいきなり戦士が話かけてきて少し声が上ずったのだが
気付かれていないだろうか…

「その剣で戦うんですか?」
「え、うん。やっぱり勇者だし剣の方がいいと思って!」

そう伝えるとすごくバカにしたように鼻で笑われた
なんだよ!何がおかしい!

「自分の身の丈ぐらい考えてください。」

と軽くチョップを入れられた。

「ところで勇者さん」
「何!」
「勇者さんは女性、ですよね?」

彼の質問の意図がわからない

「どうみたって女でしょ?」
「確かに声も顔つきも女性ですが、ちょっと失礼します」

そういうや否や、戦士の手は迷わずぼくの胸部へと伸びてきた

むにっ

「!?」
「これは…うん」
「うん…っじゃないよ!」

自分が出せる全力の力で戦士の頭をすっぱたいたがあまり効果はなかったように見える

「信じらんない!信じられない!!」
「落ち着いてください勇者さん」
「これが落ち着いていられるか!!」

初対面の、しかも年上の、しかもイケメンにいきなり無遠慮に胸をもまれて落ち着ける女子はいない!
断言できる!!なんなんだこの人は!!

「いえ、あまりにぺったんこだったのでもう少し確かめさせてください」
「断る!信じらんない!!初対面だよね?ぼくたち!!」
「えぇ、そうですけど、女性に見えなかったので自称かと」
「そ、れは認める、けど…」
「これは…そうですね、勇者さんそうしましょう」

いまだに顔が赤いぼくに、一人で何かを肯定した戦士が話を振ってくる

「オレが毎日揉んで大きくしてあげますよ」
「余計なお世話だばか!!!!」

戦士と距離をとって座り込むとただからかいたかっただけなのか、特に戦士から何かがあるとかはなかった

(本当に信じられないんだけど!!)
(ま、あまぁ落ち着いてよ)
(これが落ち着けるわけないでしょ!ターニングポイントってなんだったの?変態と出会う分かれ道だったの!?)

幼い頃からアルバがその時が来ればわかる。と言ってくれていたので
彼の言葉を信じて動いた先があの変態だ

(うーん…やっぱり世界が違うからいろいろ違うのかも)
(…世界?)
(あ、こっちの話。でもニゲル…旅、続けるんでしょ?)
(…まぁお給料もいいし…最悪訴えれば勝てるし)

訴える気なのかこの子。
そう思いつつも彼女の気持ちがわからなくもないアルバは特に言及しない

(今は…まぁあんな調子だけど、いつかわかるよ)
(変態ってことは今わかったけど…いっつも言ってるけどいったい何がわかるの)

相変わらず、この答えは返ってこない。
本当にぼくが嫌なら、アルバがなんとかすると言ってくれているが

…自分の人生を他人に歩んでもらうのは間違ってる、気がする。
アルバに言われて城に来た
けどそれは命令されたわけじゃない、彼も、ぼくが嫌なら無理にとは言わない
と言ってくれていたから、結局のところ自分で選んだ道だ。

「勇者さん?」
「っなに」
「そんなに警戒しないでください、もうしませんから」

そういって手を差し出してきた戦士
その手を取ると手を引いて立ち上がらせてくれた

「本当だよ、ぼく以外の子にやっちゃだめだからね?」
「…その言い方だとやきもちやいてるように聞こえますね」
「は!?」
「ぼく以外の女の子の胸揉まないでよね!ってことですよね」
「違うよ!?あ、いや違わないけど!」
「どっちなんですか」
「えぇ…っと…?」
「とにかく外ではもうしませんから、さぁ行きましょう」
「あ、うん











 ……外で、は?」
「外でいきなり揉まれたらヤりたくてもヤれませんもんね」
「さっきから や の発音がおかしいような」
「気のせいですよ。さぁ早く次の街に行きましょう」

微妙なずれを感じながら、ぼくと戦士は旅に出た。

…なんだかとても不安です。




 

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