父と牛

 

いきなりルキの親、2代目ルキメデスを倒したという少年が襲ってきた
そして鮫島さんもやってきた。
倒したという話しだが、少年の後ろに立っているルキメデスは死人とは思えない
いや肌は白いのだがもともとそういう色という可能性も…

鮫島さんが2代目に吹き飛ばされた今、一番あの少年に近いヤヌアさんが対峙している

「ミーちゃん…作戦があるでござる」
「作戦?」

いまだに等身がおかしいミーちゃんに語りかけるヤヌアさん

「あぁ…まず拙者が飛び出してアイツの気を引きござる」
「!囮になるってことポヨか!?危険ポヨ!相手は2代目魔王ポヨよ!」
「危険なのはわかってるさ…でも拙者はどうにも臆病で…ここぞという一撃を撃てない
 だからせめて身体をはらせてくれ」
「やっくん…わかったポヨ!それでミーはなにをすればいいポヨ!?」
「あぁ…拙者が飛び出して気を引くから…その隙にミーちゃんは…
 なんかうまいことやってくれ!」

ポヨってなんだろうっていまさら突っ込んではいけないだろうか
一呼吸おいてミーちゃんがその作戦を承諾する。

「わかったポヨ!」
「いくぞ!クマ野郎ぉー!!
 くらえ!!忍法!!」

忍者漫画か何かのように印を結びだしたかと思いきや、そのまま両手を頭上に持っていき
高速で上げ下げする

「千手観音!」
「何してるのあの人!!??」

手をばたばたさせている間に少年は2代目の能力でヤヌアさんを魔界へと転送してしまった
そのことによりミーちゃんがいつもの等身に戻る

(ヒメちゃんを励まそうとサッカーで遊んでいたはずが…
 この状況はいったい…もしかして相当マズイんじゃないの?
 あいつは強い敵みたいだし、ルキはこんな状態だし…
 兵士のみなさんは「私たちモブキャラですし」って感じで待機状態だし…
 ぼくが戦おうにも装備は城に全部置いちゃってるし…)
「ふんっ!鮫島とヤヌア以外はもう怖くないね!
 それじゃあ残り全員、まとめて葬るか」

少年が右手を顔の前にささげる
それと同時にルドルフさんの声がかかる

「ルドルフさん…!」
「なんだこれは?サッカーの様子ちょっと見に来たら
 なんでルキたんが泣いてんだよ」

少し何かを考えるルドルフさん。
あまりいい予感はしないが、戦力になりそうな人が来てくれたことに少し安心する

「テメェもしかしてルキたんを…」
「ルキたん?3代目のことか?そうさ、ルキたんはボクにビビッて泣いてんだよ」

へへーん。とでも言いたそうに得意げに話している少年
それ…ロリコンにはただの地雷です
するとルドルフさんは自身のふくらはぎに力を入れる

「筋肉で足のキズをふさいだ!?」
「え!?筋肉ってそんな機能あったっけ!?」
「ハハッなんだよ、怒ってんの?いいよ、相手になってあげるよ?
 お前みたいなちびジジイの人間風情になにが…」

いまだに事態が把握できてない少年の頭上に影ができる

「いや…ルドルフさんは特別なんだ
 ルドルフさんは12歳以下しか愛せない恋のシンデレラ
 そしてロリの法は守るお方…」
「ロリの法?」
「つまり、魔法が使えるようになっていても、不思議じゃない!」

普段のルドルフさんとはかけ離れた筋肉質の大男になっていた

「万死、ぶっ殺-コロ-リ
 5ロリ様…いまこそ称号とともにいただいたこの力、使わせていただきます
 よくもルキたんをぉぉおおおおお!!!!!!!!」

自身の拳一つで少年と2代目に向かっていくルドルフさん

「ハハッ!2代目相手につっこんでくるとは無謀の極み!」

当たり前な気もするが、少年の操る2代目のパンチが先にルドルフさんに届く
余裕の笑みを浮かべる少年だったが、体制を立て直したルドルフさんは2代目など眼中にないかのごとく
少年に拳を叩き込む

「泣かせたな!」
「なっ…2代目魔王ルキメデスを無視、した?」

少年が地面に倒れる
2代目の攻撃から復活した鮫島さんが口の中の血を吐きだしルキに声をかける

「おいちびっこ、もしあのクマ野郎を倒した場合、オヤジさんはどうなるんだ?
 助かるのか?」
「え……たぶん…」
「そうか、なら簡単だ」
「え?」
「なんだ、助ける方法あるんだ…どうすりゃいいんだって悩んじゃったよ」

ルキの頭を撫でながらそう伝えるといまだに蒼白した表情のルキが言いすがる

「え!でも…!パパを相手にそんなの、無理…だと、思ってた…」

ルドルフさんが少年を吹き飛ばしたのを見て、今まで不可能と思い除外していた選択ができたようだった
2代目の攻撃に耐えたとはいえ、ダメージがそこしれないのか、ルドルフさんは苦しそうだ

「ルキたんを…貴様…」
「カハッ!畜生テメェ…わかってねぇのか!ルキメデスだぞ!
 2代目だぞ!!もっとビビれよ!」
「確かに2代目はすげぇよ…でも所詮操ってるのはお前だろ?」
「げっ!鮫島!」
「オレも不意打ちで一発もらったが、我慢できない痛みじゃねーな」

鮫島さんと少年の近くへ行こうと足を進めるとミーちゃんから静止がかかる

「この1年でニゲルさんがかなり強くなったってのは噂で聞いてるよ
 でも武器があった方が戦いやすいんじゃない?
 よかったらオレを武器として使ってもらってもかまわないのだが」
「ぼくがかまうわ」

ルドルフさんから与えられたダメージがでかいのか、よろよろと立ち上がる少年

「うぐぐ…!畜生お前らなめやがって…ボクはツエーんだよ…みんなビビれよ…
 もっとビビれよ!マリオネット・ドール!!オートモード!」

そう宣言された途端、あたりの空気が凍るのがわかった
これが

「オートモードは人形自身が考え行動するモード!つまり2代目そのもの!
 ボクが操るより100倍強いぞ!」
「全然自慢になってない!」
「うるせー!そういわれたくないから使いたくなかったんだ!!」

これが2代目魔王ルキメデス

「オートモードか…少し予想外だったな…」
「ハハッ!ハーハハッ!!どーだお前ら!テメェら!!ビビったろ!!!!
 このモードはもうボクにも制御不能!ボクを倒すまで殺戮をつづけるぜ!!
 あらためてビビり直せ!そしてビビらなかった事を後悔し――」

高々と宣言した少年の上に見覚えのある塊が飛来した。
そして少年が倒れたことによって2代目のオートモードとやらも終ったようで地面に倒れた

見覚えのある塊、ヒメンダム
その中から元気になったヒメちゃんが出てきた

「みんな!心配かけてごめん!でも大丈夫!私もうクヨクヨしない!そして決めたの!
 私!もう一度旅にでる!!!!……あれ?みんなどしたの?」

いきなり現れて少年を踏みつぶしていきなり旅に出る宣伝をしだしたヒメちゃん
みんなの様子に気づいたのか、あたりを見回すと、ヒメンダムの足元に居る少年に気づいたようだ

「え?なにこれ何か踏んで…?え!?うそ!?人、え!!???
 何これキャー!どうしよう!?もみ消すしかない!国家権力でもみ消すしかない!!
 私の門出が!門出がー!!」

勝った…!!!!

「え?これでルキのお父さん救えたし…
 魔族がこっちと魔界を移動する手段を奪えたってこと?」
「あいつら今、魔界にもどってるっていってた…」
「ということは、魔族たちを魔界にとじこめたってことで…」


第2章完結!!!!
短い間応援有難うございました!
しかし勇者たちの冒険はまだまだこれからだぜ!


なんて遊んでいると、ヒメちゃんに潰されたはずの少年の下から見覚えのある黒い影が湧き上がってきた
それは少年と2代目魔王をはるか頭上へと持ち上げて行った

「な…」
「なんだアイツは…地面から出てきた?」
「この魔法はディツェンバーなのか?
 まずいな、2代目が起きないって事はまだ魔法は解けてないのか?
 魔法がとけるまで時間がかかるのか?」

なんとか立ち直ったルキに鮫島さんがそう問う

「わ、わかんない…とけるとこは見たことないから」
「そうか…」
「とりあえずまだ終わてないみたいだし…ルキ、ぼくの荷物があるところまでゲートつなげて」
「う、うん!」

ブーンと彼女より少し高い位置にゲートを展開してくれた

「これ有効距離は伸びたけど…アバラにヒビはいるのは相変わらずなんだよな…
 手だけだったら大丈夫かな?」

と思い左手を入れると嫌な予感がした

(あ、だめだね、いつもと同じ感じ…)
(アバラじゃなくて腕の骨にひびが…)
「ねぇ…ニゲルさん…私がとりにいけばよかったんじゃ…」

…あ

「なぁ、それで上のアイツらのとこまでいけないのか?」
「高低はそんなにつけられないんですよ」
「で?いまどういう状況なの?」
「ヒメちゃん…えっとね…」

ゲートから荷物を取り出しヒビの入った腕をさする

「それが私にもわからなくて…突然目を開けているのが困難になり…
 気づいたら地面に倒れて…」
「たぶんただ寝てただけよそれ」
「いま上の魔族たちをどうにかできれば、平和に大きく近づくって話だよ」
「魔族?」
「あの黒い奴の一番右端いいるのが2代目ルキメデスなんだよ」
「え!?右端…」

そういい遥か頭上に有るばしょを指さし、ヒメさんがそれに習い顔を上げる

「誰もいないけど?」
「え?そんなはず…」
「お前ら全員!飲まれちまえ!!」

最後に聞こえたのはルドルフさんに倒されたはずの少年の声だった


一瞬の暗闇


自身に何が起こったのかすら理解できず次の瞬間には墓場の真ん中に一人立っていた

「え?」
「オヤオヤ珍ラシ、オ客サンデスカ?」

背後から不気味な声、と言ったら失礼なのだが、そんな声がぼくに投げかけられる
その声の方に振り向くと、帽子をかぶり右目にモノクルを首元には蝶ネクタイを装備しているウシがいた


(……うし!?)






 

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