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急遽決まった青八木兄妹と部活終わりのメシ。
メシ食いに行くって決まってから、2人に「何食う?」って聞いたけど…オレとしては完全にラーメンの口だったんだよな。
青八木と2人なら躊躇いなくラーメン食いたいって言えるんだけど、さすがに女の子をラーメン屋に連れてくのはな…って気が引けた。けど兄妹は口を揃えて「ラーメン」って言ってきた。
じゃあいつもの店に行くかって青八木と決めて、いつもオレと青八木が田所さんに連れて行ってもらってるラーメン屋に向かった。


そこでオレは、にわかには信じられない光景を目にする事になった。


オレの目の前に座る一花ちゃんと青八木の前に運ばれてきたラーメンは、麺も野菜もチャーシューも大盛り、走った後でもオレには食い切れそうにない量のそれ。そう、その山盛りラーメンが二丁。
え?青八木今日二杯も食うの?んなに腹減ってたのかよ…って思ったら、その一つに一花ちゃんが「いただきます!」と礼儀正しく両手を合わせて箸をつけていた。
そしてその隣で全く気にせず自分の分をすする青八木。

……もう呆然とするしかなかった。


「…手嶋、伸びるぞ」


青八木の声にハッとして漸くオレも自分の注文した、2人の食ってるそれより半分は小さいラーメンに手をつけた。変だな、普通のサイズなはずなのに目の前に二杯もデカいのが並んでるとすげー小さく見えるわ……。


「んー、ここすっごい美味しいですね!連れてきてくれてありがとうございます!」
「だ、だろ!?田所さんがオススメしてくれるだけあるよな、青八木!」


コク、っと青八木は強く頷く。

しかし…青八木が田所さんみたいになりたいっつって男にしては小柄なのによく食うのは知ってた。まさか…一花ちゃんもこんな食う方だったなんてな…。細せェのによくこの量収まるよな、一体どこにこんな──

あ、あったわ。一箇所。

気付けば視線が一花ちゃんの華奢な体には不釣り合いなふくよかな胸に落ちていた。
今ブレザー脱いでるからでかい胸がよく見えてて一層ラーメンが美味く──
ってオレはどこ見てんだ!しかも何考えてんだ!ダメだろ!


「…手嶋さん、どうかしましたか?」
「えっ…、あーいや、一花ちゃんよく食うなって…」
「あ…す、すみません…やっぱ引いちゃいますよね、こんなの……」


一花ちゃんは気まずそうにオレから視線を逸らした。
寧ろすみませんって謝らなきゃいけないのはオレの方だ。


「んなことないって!よく食うのはいいことじゃねーか」


びっくりはしたけど、引いてなんかないし、むしろすげー美味そうに食ってるから見てて気持ちいい位だ。ていうかその美味そうに食ってる顔も可愛いわ。


「よかった…!よく男の子に『お前食いすぎて引く』って言われちゃうので…あはは…」
「ひでーな、そんな事言われんの!?それその男達がおかしいんだよ、一花ちゃんみたいに美味そうに食べる子すげー可愛いのに」
「んッ…!?」


一花ちゃんの顔がみるみる赤くなって、恥ずかしそうに「そんな事ないです…」って小さく言いながらオレから視線を逸らした。予想通りの反応だけど予想以上の可愛さだ。めちゃくちゃ可愛い。ついもっと揶揄うような事言って色んな反応が見たくなるな…。

そんなオレの考えに気が付いたのか、ふと青八木の顔を見ると「あんまりからかってやるな」と言いたげな視線をオレに向けていた。
青八木のやつ、家族である一花ちゃんとすら口数少ないけど…大切にしてんのはすげー伝わってくる。そりゃこんな可愛い妹がいりゃあ大事にしたくなるのもわかるわ。オレだったらきっとベタベタに甘やかしてる。


「一花……最近食い過ぎだ」
「お兄ちゃんに言われたくないよ!私と同じくらい食べてるじゃん」
「…夜、お菓子食べてる」
「うっ…」
「ぷっ…ははは、やっぱ仲いいわお前ら」




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