お茶会U
「美味しいです。さすがブレッドさんの選んだ紅茶ですね」
「わざわざ名前に頼んだかいがあったということだ」
ブラッドは上機嫌に紅茶に口づける。
「どうだ、お嬢さん。私のお気に入りの紅茶は」
「甘い花の香りがするわ....優しい味わいね」
「そうだろう?実はこの紅茶は........」
それからブラッドの紅茶うんちくが始まったので省略させてもらう。
これは半時間帯は話し込むだろうと予想したアリスは、アップルパイを食べながら適当に相槌を打つことにした。
「そうですね。ブレンドしやすいので、色々なバリエーションで楽しめますよね」
「そうだ。なら次はブレンドティーにしよう」
名前だけはニコニコとブラッドの話を聞いている。話がわかってくれる相手がいて嬉しいのか、ブラッドの機嫌が更に良くなっているのが目に見て分かる。
だが一方こちらではムスッとした表情で、エリオットがニンジンマフィンを頬張っていた。名前をブラッドにとられて面白くないと、はっきりと顔に書いてある。
「エリオット、随分機嫌が悪いのね」
「....ブラッドじゃなきゃ撃ってるところだ」
フン、と鼻を鳴らしマフィンを食べるのを再開する。
するとエリオットの横からずいっとスプーンに掬われたオレンジ色のプリン....考えなくともニンジンプリンだろう....が差し出された。
「これ美味しいですよ、エリオット」
名前はにっこりとプリンを差し出しながら微笑んだ。
「〜〜〜〜っ!名前、大好きだー!!!」
「ちょっ…!危ないです、エリオット!いきなり抱きつかないでください」
アリスがブラットに視線を移すと、彼はやれやれと言いたげな表情で、新たに注がれている紅茶を待っていた。