良き友

 彼は私を副会長と呼ぶ。私がどれだけ彼の事を友として『曹丕殿』と呼ぼうと、彼は、生徒会会長として私を副会長と呼ぶ。私はそれが心地よかった。彼には甄姫様がいる、二人の間に私は決して入りたくない。だが、それは決して暗い感情ではない、二人を祝福したいからこそ、私はその他大勢でいたかった。そのはずだった。
「なんだこれは?」
 日付はバレンタイン、差し出された品はラッピングされた小箱。曹丕殿ほど聡明な方なら、中身はすでに察しているのだろう。
「友チョコ、だよ」
 そう、友チョコ。私は友でありたかった。曹丕殿の友でありたかった。曹丕殿と甄姫様を見守る存在。そして、曹丕殿に名で呼ばれるような友に。
「そうか、友か……随分と欲深くなったものだな、星雨よ」
 初めて曹丕殿が口にした、私の名。今の私の表情は、チョコのように蕩けているかもしれない。
「はい、私たちはよき友でありましょう、曹丕殿」


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