甘味過多!

 怒ったように吊り上がった眉、不機嫌そうに尖らせた唇、だが照れくさそうに伏せられた瞳と、真っ赤な頬。白露は決して諸葛誕と目を合わせず、後ろに隠していた手を前に回した。その手には、可愛らしく梱包されたチョコレートが握られている。
「こんな脂質と糖質の塊を贈るイベントって、体にも財布にも悪いだけじゃない。確かに、その……甘くておいしくて、色んな形があって可愛いけどさ」
差し出されたのは、小奇麗に方法されたチョコレートの包み紙だった。市販品のチョコレートをバレンタインに恋人へ贈るためだけに、ここまでの百面相と悪態を表すのも珍しいはずなのだろうが、諸葛誕からしてみれば『白露らしい』の一言で終わってしまった。
「白露殿は、相変わらずですね。ありがとうございます」
 諸葛誕が思わず笑みをこぼす。そして、包みを受け取ることも忘れない。
「そのブランドね、前評判がすごくて買うの大変だったんだから!」
「私のために、大変な努力をして選んでくださったのですね」
 諸葛誕が白露の頭をなでる。違うと否定する白露だが、その耳は真っ赤に染まっていた。


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