えぐるように打つべし!

 必死に背を伸ばす。つま先立ちをする。そうすると、やっと彼の髪の先に手が届いた。
「トウ艾クンってさ、なんでこんなキツイ金髪に染めてるの?」
「意味ですか? 特に深い意味はないですが……」
「ジャケットもそんな着方してたら、不良っぽくない?」
「自分は校則に従い、決して後ろめたい行為は行っていないつもりなのですが……」
「うん、知ってる。見た目は怖いけど、行動は真面目そのものだよね」
 体も大柄で、金髪で、シャツも中に入れてなくて、ジャケットの前も止めてなくて……トウ艾クンの見た目は、並みの不良なら逃げ出すくらいの迫力だろう。
「……そんな見た目だったら、女の子におびえられて、チョコもらえないんじゃない?」
 トウ艾クンが少し困った顔をする。よくよく見てみれば、?艾クンの後ろには可愛らしい紙袋と中いっぱいのチョコがあった。
「はぁ? そんなにいっぱい貰ってるの? じゃあ、私のが一個増えたくらいどうってことないでしょ!」
 殴りつけるように叩きつける。でも、チョコは絶対につぶれないように。実際、不機嫌なのは本音だった。彼がこんなに人気があると気づけなかった、自分にイライラする。
「自分にチョコを下さるとは、ありがとうございます」
 ああ、なんて丁寧なんだろう。私はこんなトウ艾クンが大好きなんだ。一見不良みたいで、真面目で、優しいトウ艾クンが大好きで、なのに素直にはなれなくて。
「……なぜ、泣いておられるのですか? 自分にできることはありますか?」
 心配そうにトウ艾クンが差し出してきたハンカチは、綺麗にアイロンがかけられていて、私はそのハンカチをクシャクシャにしながら涙をふく。ザマーミロ! こんな見た目でこんなに丁寧で、優しくて、几帳面で、大好きだ。


21/40

*prevnext#
Back to Contents
しおりを挟む



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -