謎かけしましょ

 このオロチ世界という場所に飛ばされ、他の時代から来た人たちと交流し、気づけば順応していたのだから、私みたいに平凡な人間も舐めたものではないのかもしれない。だから、今日は三国の歴史でも知者で有名なあの人に、謎かけをしてみようなんて思ってしまった。
「賈クさん、今日は私の世界だと、ある催し事がある日なんですよ。当ててみてくれませんか?」
「あははあ、中々面白いことを考えるものだね。丁度暇をしていたところだ。その話、乗った乗った!」
「では……この催し事ではお菓子を贈ります。お菓子を、どういう人に贈るのか当ててみてください」
 そう語り、彼女はマカロンを差し出した。オロチ世界で手に入った材料で作った、どちらかといえばマカロンもどきとでもいうべき、それっぽいだけのお菓子ではあるのだが。
「ふむ、お菓子はこのような丸い形のものなのか? 間になにかを挟む携帯食料にも見えるな」
「本当は、違うお菓子が定番なんですけれど……この世界では、材料が手に入らなくて作れなくって」
 作る。その言葉が引っ掛かったらしく、賈クはニヤリと笑い手を顎に添えた。
「なるほど、毒を入れて食べた者たちの運を占う……なんてものも考えたが、アンタのその笑顔だ、楽しいものに違いない。意中の相手にお菓子を贈る。どうだい?」
「大正解です!」
 そう言いながら、満面の笑顔で彼女は賈クにマカロンを差し出す。想定外だったのか、賈クが目を丸くする。
「おいおい、俺に贈るっていうのは……そういうことと解釈して構わんのか? 全く物好きだね」


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