Let's Game!

 お弁当箱よりはずっと大きくて、お重よりは平べったい。プラスチックでできた黒くて大きくて重量感のある箱を見つけて、白露は小さな虫を見つけた子猫のように、目を輝かせて興味深そうに見つめている。
「公休君! 公休君! ゲーム機ある!」
 どうも白露は、興味のないものには無関心なようだ。諸葛誕がこの部屋に一人で住んでいる頃からカラーボックスに鎮座していた、白露からすれば先住民とも言えるゲーム機と一式だというのに、無理矢理の押し掛け同居を始めてから一週間もたった今、初めて気が付いたらしい。
「ねぇねぇ、ちょっとだけ遊ぼーよ! 二人で遊べるのってある? 公休君はどういうのが得意?」
 カラーボックスから重々しく取り出し、テーブルの上に本体を置いたかと思えば、すぐさま振り返りソフトを物色し始めた。棚にあるソフトは全てアクションゲームで、さらに同じシリーズ作しかない。だがさほどゲームに明るくない様子の白露は、すべて似たような作品だと察する様子もなく、沢山のソフトを輝く瞳で見つめ、宝物のように魅入っている。
「……なら、最新作が良いのでは」
 カラーボックスの前に座り込み、もし犬なら振り切れそうなばかりに尾を振っていそうな様子の白露の後ろに、諸葛誕がしゃがみこんで手を伸ばし、一本のソフトを手に取った。真・三國無双8と書かれたそのソフトを諸葛誕は丁寧にケースから取り出し、ディスクを本体へ挿入する。白露はその様子を嬉々とした視線で追いながら、満面の笑みで諸葛誕の後ろに続いていた。
 ゲーム機本体の起動音が静かな部屋に鳴り響く。続いてブルーレイの読み込み音が部屋に広がる。コントローラーを握りメニューを操作する諸葛誕の横では、白露が心音すら聞こえそうなほど緊張した、だが昂りを押さえきれない様子で、コントローラーを握りしめていた。
「あまり、ゲームは遊ばないのか?」
「興味はあったけど、家になかったから。今日が初めてかも、えへへ」
 テレビに映し出されるメーカーロゴ、続いて映るオープニングで華麗に動き回るキャラクターを見つめ、白露は驚きで固まりながら目と口を大きく開いて見惚れていた。
「ねぇねぇ、すごいね! 実写みたいだね! 全部CGなの? よく動くね!」
 諸葛誕が、思わずコントローラーから片手を離して、白露を撫でる。なぜ撫でられているのかもわからないまま、白露は拗ねたように、照れたように、早く遊んでみたいとねだった。
「ああ、そうだな。どのキャラもある程度育っているから、好きなキャラを選べ。私が2プレイヤー側で補佐をしよう」
 白露が大きくうなずいて、おっかなびっくりコントローラーを動かし始める。二人の夜は、まだ始まったばかりだ。


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