溶ける。本気で溶けると思った。そうして3時間目の終わりに保健室へ向かった。計ってみると、熱は38度6分。夏風邪を引いたらしい。そりゃあまともに授業を受けてられない訳だ。保健室の林先生が氷枕を用意してくれたけど、それでも私は熱さに喘いでいた。これじゃあ学校に来た意味あるのかな、と苦笑した瞬間にチャイムが響く。4時間目の授業が終わった。
シャッと鋭い音を立てて、白いカーテンが開けられる。林先生が顔を覗かせて、私を呼んだ。やっぱりというか何と言うか、早退をすすめられる。素直に応じた。忙しそうに林先生が職員室と連絡をとっているのを遠くのことのように思いながら目を閉じた。もう一度シャッとカーテンが開いて、林先生が何か言うのに返事をした。内容は、結論から言うとよくわからなかった。先生がどったらでなんたらが…というように。やっぱり脳みそでも溶けてるんじゃないだろうか。
暫く経って、更に再度シャッと音がした。名前を呼ばれたのはわかった。でも誰に呼ばれたかわからなかった。




「おーい、生きてるか」




間延びした声、遠慮なくベッドに腰掛ける気配。もしかして…?そこで目を開いた。




「…銀、ちゃん?」




視界に映った銀色に、胸がざわついた。担任であり、国語担当教師であり、実はこっそりお付き合いしている坂田銀八先生、がそこにいた。どうやら5時間目は授業がないようで、家まで送っていってくれる、らしい。あぁ、さっき林先生が言ってたのはこのことだったのか。
不意に、銀ちゃんが腕に触れてきた。銀ちゃんが熱さにぎょっとしたように顔を歪める反面、冷たくて気持ちいいなあと私の頭の中にはお花畑。いつもより2割増し真剣に、大丈夫か、水飲むか、と聞いてくる銀ちゃんがお母さんみたいで、それがまた嬉しかった。

でもそれもちょっとの間のことだった。
銀ちゃんが悶絶し始めて、頭をわしゃわしゃと掻いて、だめだとかなんとか呟いてる。暑すぎて頭が湧いたのかと眺めていると、急に、雰囲気が変わった。




「具合悪いとこ悪いんだけどさ、」




お前エロ過ぎ。と囁いて覆いかぶさるようにくちびるが近付いてくる。始め意味がわからなかった。くちびるがくっついて数秒経ってから、キスかと気付いた。
不謹慎とか、変態教師とか、保健室で盛んなとか、変態教師とか…浴びせるべき罵声は沢山あるはずなんだけど、思い付かないことにして目をつぶった。それが深くなっていくとともに苦しさも増す。これはSというより獣だな、と従っている私もなかなかである。
でも銀ちゃん、一言だけ言っておくと、夏風邪は辛いよ。





あとがき:『保健室×銀ちゃん=アダルト』な自分にびっくりだよごめんなさいいい
でも銀ちゃんと保健室で二人きりになったら興奮するよね!寧ろ襲う!←




110614

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