いつにも増した賑わいとテンションの高揚する雰囲気。学校祭に誰もが盛り上がっている中、目の前のこいつも例外ではないはずで、そしてそれは私にとって最悪な状態なのだ。最早このだだ下がりなテンションを止めることは誰にも出来ない。引き攣る口元を隠さずにUターン。と、その腕を捕まれて叶わない。




「おい、メス豚。ご主人様に対してその態度はねぇんじゃありやせんか」




これだから嫌だったんだよ、表は!ってかここメイド喫茶であってSM喫茶じゃないし!なんて今更文句を言っても遅いのはわかってる。わかってても文句言わずにはいられない。本当は裏方だったのにいつの間にか客…ご主人様の対応に回されて、メイド服で接客。ってかなんでこの人私の担当時間知ってんの?私午後からって嘘ついたはずなんだけど…ちらりと振り返る。満足げな表情だ。してやったりって感じだ。




「俺の情報網なめんじゃねェ」
「…北野さぁーんチェンジだってったぁ!いたっ足!靴!」
「あんたどうせ俺の接客終わったらあがりだろィ」
「なんで知ってんのほんとに!気持ち悪…ごめんなさいなんでもありませんんん!」
「その調子でさァ。じゃあ次は跪ずいて靴を舐めな。あんたを踏んで汚れたんでねィ」
「……」




ツッコミどころ満載過ぎてなんも言えない。今更なんでこんな奴とやり合ってるんだろうと空しくなる。なんか頭痛い、色んな意味で。自然にこぼれる溜め息の回数は何度目かわからない。どこに惚れたんだ、こんな奴の。なんて思いながら、また、溜め息。




「まァとりあえず、行きやしょう」
「は?ちょ、どこ行くの?」
「どうせ暇なら一緒に回ろうってことでィ、少しは察しろ鈍感」
「ど、鈍感…」




不覚にもこの申し出に喜んでしまっている。参った、これが惚れた弱みか。というかその前に着替えたい、メイド服で校内徘徊なんていい見世物…ん?いい見世物?




「それが狙いか!」
「は?何言ってんでさァ。…いいから、ほれ」




結局、差し出された手に流される。あぁあ、救いようがない。





あとがき:小説とか漫画とかの影響で『学祭=メイド喫茶』のイメージがあります。



110427

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