「おはよう詩季」


挨拶をしてくれた友人におはようと返して自分の席に着く。わたしが雷門中学校に編入してから早いものでもう2ヵ月が経とうとしている。我が従姉妹である夏未とその父であるおじさんには沢山迷惑をかけてしまったが、そこは親族という事で大目に見てほしい。
カバンから勉強道具を出していると、友人は少し興奮した様子で話かけてきた。


「聞いた?例の転入生、ウチのクラスに来るらしいよ!しかもかなりのイケメンなんだって!」
「へぇー、イケメンねぇ」


例の転入生と言うのは先週あたりからまことしやかに囁かれている噂の事で、どこから情報が漏れたのかは知らないけれど2年生に転入生が来るという噂が全校生徒に知れ渡っていた。
わたし自身は夏未から聞いて自分のクラスにその転入生が来る事は知っていたが、どんな人物かは聞いていなかったのでイケメンという情報は有り難く頂いておく。
まぁ、どんなにイケメンだろうと恋愛対象になる事はないだろうけど。


「テンション低いなぁ!イケメンよイケメン!」
「うん、目の保養が増えるわけね」
「うわぁ、枯れてる…」
「ほっといてちょーだい」


苦笑された。中学生を恋愛対象として見れないだけで別に枯れてるわけじゃないんだけどなぁ。ぶっちゃけ中学生のうちから恋だの愛だのヤるだのヤらないだの言ってるのがおかしいわけで……、話が逸れた。


「それにしてもウチのクラス、転入生多くない?」
「人数のせいじゃない?他のクラスより少ないし」
「そうだけどさぁ…」


とは言ったものの、確かにウチのクラス転入生多すぎだろ。文理や成績でクラス分けをしてるわけでもないのにどうしてそんなに人数にばらつきのあるクラス編成にしたのか。
余談ではあるが、夏未はなぜかその転入生を他クラスに入れたがっていたらしい。だが夏未の反対も虚しく、人数の関係でウチのクラスになったと聞いた。わたしの時もわたしをこのクラスに入れるのを反対したらしいが、このクラスに対して何か恨みでもあるのだろうか。


「ショートホームルーム始めるぞー」


先生が教室に入ってきた事によって騒がしかった友人はそそくさと席に戻っていった。みんな例の転入生が気になるのか教室内はざわついたままだった。





 



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