数あるスポーツの中でサッカーはわたしの一番大好きなスポーツだった。
……いや、そう言うと語弊があるか。
訂正、わたしは今でもサッカーは大好きだ。ただ、好きだという気持ちよりも恐怖の方が大きくなってしまったのだ。
試合を見ていても心を埋めるのは恐怖のみで、昔のような高揚感は一切無い。
深夜にテレビを見ながらブブゼラを吹いていたわたしはどこに行ったのだろうか。
サッカーに対してこんなに恐怖を抱くようになったのはここに来てからだ。こんな所にいたら誰だってわたしと同じ感情を持つに決まっている。
そう、ここはおかしい。
「…おい、鳴海?」
「………ごめん」
「っ、詩季!」
簡単に人を傷つけるボール。次々に倒れていく選手たち。
それを見て疑問に思う。
「………どうした、鳴海」
はたしてこれは本当にサッカーなのか、と。
「わたし鳴海詩季は本日を以って、帝国学園サッカー部のマネージャーを辞めさせて頂きます」
みんながあれをサッカーだと言っても、わたしはあれをサッカーだとは認めない。
少女Aの受難(どうしてこんな事になったのか)(誰か教えて)
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