涙も止まったし、少し冷静になって考えてみたんだけど本当にくだらない事をうじうじと悩んでいたらしい。今日一日を無駄に過ごしたわけだ。
夏未達がキャラクターだとわかったからって現状が変わるわけじゃない。ここが違う次元だという事がわかったところで元には戻れないだろう。むしろいよいよ本気で戻れなくなったと思うのが妥当か。流れ的に。

だったら、腹を括るしかないだろ。

ずっと逃げてたこの世界と向き合ってみようと思う。
多少理解できない事があってもゲームやアニメの世界なんだから仕方ない、と思えばどうにかなるかもしれない。サッカーもこの世界のサッカーは普通のサッカーじゃなくて超次元サッカーというものなんだと思えばどうにかなるかもしれない!……まぁ後者は超次元サッカーだと思ったところで恐怖自体は拭えないだろうがな。キーパーとかただのドMだって絶対。


「さっき聞かれなかったけど俺、姉ちゃんも父さんも母さんも大好きだからね!」
「!…わたしも崇とお父さんとお母さんのこと、その………大好き、だよ」


……今更ながら、さっきは随分と恥ずかしい言葉を大声で叫んだものだ。弟はわたしと同じ思いだったのが純粋に嬉しかったのかニコニコと笑っているが、それが更に恥ずかしさを煽っている。今なら羞恥で死ねるかもしれない。


「…ちょっと飲み物買ってくる!」
「うん、いってらっしゃい!」


確かに喉は渇いていたがこれはただの逃亡である。病室を出ようと思ったらドアが15センチくらい開いていた。どうやら部屋に入った時に完全に閉めてなかったらしい。あの時の心理状態なら閉め忘れても仕方ないか、と思いつつドアに手をかけた。


「あ……」
「え………、…え?」


閉めたくなった。





スタートダッシュ失敗(おいおいおい)(嫌な予感しかしないぞ)




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