誰もいないのを良い事に泣いて泣いて泣きまくった。これは懐かしの病み期に突入してもおかしくない大事件だ。また根本が、常識が覆されたんだから。少しは成長したつもりだったけど、どうやら十年近く経っても成長していないらしい。メンタル豆腐か。
どんどんネガティブになっていったが、一時間目終了を告げるチャイムによって思考が一旦止まった。一時間も泣いてたのか。絶対酷い顔になってる。


「詩季!!」


壊れるんじゃないかってくらい乱暴に開けられたドア。いつもの彼女らしくない。ツカツカと足音が近づいてくるがわたしはカーテンに背を向けて泣いてる顔を見られないようにした。ぴたりと足音が止み、躊躇なくカーテンが開かれた。


「詩季…!」
「ごめ、ん夏未。今話したくない…や」
「あなた、泣いてるの?!」


さすがに声でバレたらしい。とにかくだ。こんな状態で夏未とは話せない。彼女がキャラクターだと認識してしまった今、彼女にどんな言葉を投げ付けてしまうかわからない。


「……もう帰りなさい」
「でも、荷物とか…」
「先生たちにはわたしから説明するし、荷物は帰りに届けてあげるから。ほら早くなさい」


ゆっくりと夏未に起こされて背中を押される。中学生にしては出来た優しい子だと思う。まぁ、ツンが多い高飛車な性格のせいで友達はあまりいないみたいだけど。

でもそれもキャラクター。


「一人で帰れるかしら?」
「うん、だいじょぶ」
「そう…。なら気をつけて帰るのよ」


夏未はそれだけ言うとそろそろ授業が始まるから、と言って先に保健室を出ていった。





八つ当たり(本当は気付いてる)(でも認めたらわたしを否定することになる気がして怖いの)




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