「よし、行くぞ」
ツナがそう言って立ち上がった瞬間にドーンと大きな音と地響きが起こった。
「何!?今の何!?」
「何かが爆発した…?」
「爆発?!」
どうやら現場はツナの家からそう遠くない所にあるらしい。いやむしろ近すぎるくらいだ。窓から煙が見える。
「あそこは…!」
「どうしたの?」
「お化けトンネルの近くだ!」
煙の立っている所はお化けトンネルの近くらしく、ツナが焦っている。
……わたしが爆発しろ!とか言ったからじゃない、よ…ね?………うん違う。絶対違う。
わたし『トンネル爆発しろ!』
神様『その手があったか!それちゅどーん』
ちゅどーん。
………いやいやいやいや、ないないないない。
ていうかまだ爆発だと決まったわけじゃないし!それにもし爆発だったとしても現場がお化けトンネルじゃないかもしれないし!
「とにかくトンネルに行ってみるぞ」
「う、ん…」
わたしのせいじゃありませんように!でもトンネルは壊れてればいいよ。
そんな物騒な事を考えながらツナの後を追った。
「見、え、な、いっ!」
「何でこんなに集まってんだよ…!」
お化けトンネルに着くとそこには人だかりができていた。前がどうなっているのか見たくてぴょんぴょん跳ねるけど意味はない。ツナより背が高いわたしが跳ねても見えないもんだからツナは跳ねる事すらしていない。
「リボーン、ちょっと行ってきて」
「ああ」
ついてきていたらしいリボーンが人を踏み台にして前へと消えていった。リボーンついてきてるの知らなかった。
「最悪だ…」
「何か言った?」
「……いや、何も」
ツナが何か言ったっぽいけど雑踏に掻き消されて聞こえなかった。もう一度言ってくれそうもないし、リボーンが戻ってきた事によってその会話は途切れた。
「おい、見てきたぞ」
「どうだった?」
ああああああ!なんかすっごく緊張するうううう!!これ大会のときより緊張してるって。
「お化けトンネルは粉々だったぞ」
「………………」
「……、…」
…まぁ、予想通りだったわけだけどリボーンの言ってる事があまりにも直球すぎてツナもわたしもちょっとフリーズした。これほんとにわたしのせいっぽくね?いや違う。そんな力わたしにないって。うん。
「嘘だろ?!」
「ホントだぞ」
「じゃあわたし帰れないの?」
「あ……、帰りたいよな」
ツナが俯いたわたしの事を心配してくれてるっぽいけど心配ナッシング!ああ、なんか自分テンション高くてきもいな。ナッシングってなんだナッシングって。
「やったぁ!この世界にいれる!」
「は!?おまえ帰りたくねぇのかよ!」
「今は帰りたいとは思わないよ!だってある意味奇跡体験!!」
いつかは帰りたいと思うかもしれない…というか思う時がくるとは思うけど、今は帰りたいとは思わない。未だにどうしてこうなったのかはわからないけどつまらないと思っていた日常から抜け出すことができたのだから、ちょっとくらい楽しんでから帰る努力をしても許されると思う。
なんて、呑気に考えてた(あの時の自分をぶん殴りたい)
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