「暇だー」


勢いよくベッドにダイブするが無駄にスプリングがきいているので痛みは感じない。


「くそ、今日もかっこいいなぁツナは…」


壁にかけたカレンダーを眺めてニヤけながら独り言を言っている今のわたしは世間一般で言うヤバい人に分類されるだろう。自覚があるあたりまだマシか。

超死ぬ気のツナに萌え滾り、ベッドをドスドスと叩いていると彼方の家に面した窓から鈴の音が聞こえてきた。


「彼方め…至福のひと時を邪魔しやがって…!」


自分で言うと自慢してるみたいで嫌なのだが、わたしの部屋は結構広くて彩の部屋の窓と面した窓と彼方の部屋の窓と面した窓がある。まぁそのぶん細長い形の部屋なんだけどね。

時と場合にもよるが、電話やメールをするよりも窓から会話した方が手っ取り早い事に気がついてからは紐についた鈴を呼び鈴がわりにして相手を呼び出すようになっていた。


「何か用?」
「おまえ今日発売の新刊買ったか?」
「え?今日だっけ?」


最近大会やら練習やらで忙しくて新刊の発売日とか確認していなかったが、どうやら今日だったらしい。というかこいつは例のごとくわたしに借りる気満々なのか。そろそろレンタル料金とるぞ。


「じゃあ今から買ってくる」
「今から?明日の帰りでもいいじゃねぇか」
「駄目!新刊は出たその日のうちに買わないと!」


発売日忘れてたくせに何言ってんだって感じだけど、ちゃんと発売日に買える地域に住んでるんだから発売日に買わないと損した気分になるじゃないか。


「もう遅いしオレも行こうか?」
「大丈夫!お化けトンネル通ればすぐだし」
「…おまえ一人であのトンネル通れんの?」
「………頑張りマス!」


上着を羽織ってケータイとカバンを持って部屋を出る。あ、窓閉めんの忘れた。


「彼方、窓閉めといて!」
「おうよ。買ってきたら読ませろよ」
「お前マジでいい加減に金とるぞ!」


部屋のドアが閉まる前に見えたのは窓を閉めようと頑張ってる彼方の姿で、窓くらい自分で閉めればよかったかなぁと思った。でもまぁ漫画貸してやるんだしこれくらいさせてもバチは当たるまい。




 

 



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