どうにかSHR開始には間に合ったのですが、一つ問題が発生しました。転入生って目立つよ。すげぇ目立つよ。クラスの人の視線を一身に浴びてるよ。今の状況はチキンにはつらいですガタガタガタ。しかもイケメンの横に並ぶなんてただの拷問だろ。まぁ、美少女の横じゃなかっただけまだマシだろうけど…。


「転入生の梦原琴玻とイタリアに留学していた獄寺隼人くんだ」


……あれ?聞き間違いでなければ獄寺には敬称がついてたのにわたしは呼び捨てだったぞ。その気持ちわからなくもないけどさ、せめてわたしにも敬称をつけてくれ。悲しくなるから。


「梦原は本当は2年生だが、去年1年入院していたため1年生からやり直すそうだ」


あ、年齢詐称じゃなくて病弱設定なんだ。しかし事前に知らせておいてくれよリボーン。病弱キャラとか作ってない、というか作れない。病気とか風邪とはあまり縁のない健康優良児だったから病弱な人ってどうすればいいのかわからん!今馬鹿は風邪引かないって言ったやつ前に出ろ、前に。


「梦原琴玻です。みんなよりひとつ年上だけど、気にしないで普通に接してくれたら嬉しいです」


クラスで浮きたくないという一心で挨拶したよ。年上だからって全員が敬語だったらマジで泣く。さっきも言ったが人間関係は第一印象が大事なんだ!とりあえず全力で人あたりのよさそうな笑みを浮かべておけばそんなに可愛くないわたしでもなんとかなるだろ。


「それで、えーと……」


先生はちらりと獄寺の方を見たけど獄寺はツナを睨みつけるのに精一杯で気づいていないらしい。ツナは睨まれてオロオロしてるけど演技ですねわかります。スレてるってわかってるとどんなことをしていても全部が嘘っぽく見えてくるから不思議だよね…。
先生は獄寺に自己紹介なり挨拶なりして欲しかったんだろうな。心中お察しします。


「じゃあ梦原と獄寺くんの席は…」


先生にならってぐるりと教室を見渡し、空いている席を二つ確認した。ちょ、まさかの窓側でツナの隣とかいう好ポジション!まさかすぎるだろ。あそこがいい!絶対あそこがいい!むしろわたしがあそこの席じゃなかったら獄寺がツナの隣とかいうカオスな展開になるんだろ?これは阻止せねばならんだろう!


「先生、わたし窓側の席がいいです…!」
「別にいいが…どうした?」
「気分が優れない時とかは外の空気を吸うと落ち着くことがあるので……」


儚げに見えそうな動作を無理矢理作って先生におねだりしてみる。プライドなんて捨てたよ。むしろ最初から持ってないわ。病弱キャラを全力で使ってツナの隣をゲットしてやんよ!









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