20.再開は告白とともに「くっ…!!」
皆がまだそれぞれの相手と戦う前。
国王にみぞおちを殴られたセナは、意識を失い、処刑室に連れてこられ、張り付けにされていた。
腕と足を魔法が使えなくなる錠でとめられているセナは、腕と足をじたばたさせていた。
「何だセナ。最後になってあがくのか?」
「仲間がぁっ!!仲間がここにいるのよ!!」
いつもの穏やかな声ではなく、必死に叫ぶセナ。
国王はニヤリと笑う。
「そうか、わかったぞ!一人で死ぬのが怖いんだな?大丈夫。後でお前の仲間もそっちにおくってやるから」
「お祖父様はっ!!」
セナは涙を流しながら国王に、いや、お祖父様として訴えた。
「お祖父様は何でわからないのっ!?私はそんなこと望んでないっ!!一人で死ぬのも怖くない!!だけど!!」
ボタボタと床に落ちる。
「仲間は!!お願いだから…仲間は殺さないでっ…」
「っ――!!」
いざ扉を開けようとしたのだが、セナの泣き叫ぶ声がした。
何でセナを泣かせるんだよ
お祖父様?ってことはこの国の国王だよな?
なんだってんだよ!!一体!!
「それは無理な相談だな」
はっとしたようにセナは国王を見る。
「何で!?私だけ殺せばいいんでしょ!?なんで仲間までっ…」
「気に入らんのだよ!!」
いきなり国王が叫んだ。
「っ!?」
「セナがどこかに行ってしまうのが!!セナが何処のやつかわからん男に奪われるのが!!」
国王は取り乱している。
「お前は小さいころに母親と父親をなくしてからずっと、私が見守ってきた!!」
「!?」
母親と父親を亡くした!?
グレイは自分と同じだと思った。
「結婚も第2城の紅次郎王子と決まっていた!!のに、お前が結婚はしないなどといいだすから!!」
「結婚は私が決めたいの!!第一今私には好きな人がいるの!!」
「「!!」」
同時に国王とグレイが驚く。
「だ、誰なんだっ!!言いなさい!!セナ!!」
「優しくて、暖かくて、いつでも私の心配をしてくれる。妖精の尻尾の魔導士よ」
「妖精の尻尾の魔導士だと!?名前は!?」
セナは真っ直ぐ国王の目を見る。
「グレイ。グレイ・フルバスター」
「っ!!?//」
トビラ越しに、自分の名前が出てきて驚くグレイ。
「グレイ・フルバスターだと!?魔の紅眼のターゲットじゃないか!!」
「そんなの関係ない。私が一方的に好きなだけよ。」
違う
「一方的にだと!?」
違う
「ええ。誰にも言ってないけど、いつの間にか好きになってて。グレイは私なんて好きじゃないとおもうわ」
違う!!
「ではもう…」
バァァン
「「!?」」
いきなりトビラが開いた。
「何者だ!!」
「誰が一方的に好きだって?」
だんだんと人影が表になっていく。
「誰が俺がセナを好きじゃないだって?」
「え…その声!?」
ダッと走り出す。
「俺はなぁ!!会ったときからずっと!!」
人影は国王目掛けて走って行く。
「お、お前はっ!!」
「セナの事が好きなんだよっ!!」
「グレイ・フルっ…」
気がつけば、国王は中に舞っていた。
グレイが殴ったのだ。
グレイはそのままセナの所に行き、セナを見て言った。
「待たせたな」
と。
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