16.驚天動地!?
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― 魔界 ―



「お祖父様」



魔界第一城の王室で、先程魔界に来たセナがお祖父様(国王)に話しかける。



「帰って来たか」



兵士に槍を向けられながら王室に入ってくるセナに、国王は振り替える。


「何故辞退等を選択した?」



セナは国王を見ると話し出す。



「あまりにも"狩る者"(ターゲット)が強大過ぎたからです」



国王はセナの目を見る。



「辞退したらどうなるか知らんとは言わせんぞ」



セナは兵士達を軽くかわすと、国王に近づく。


「知ってますよ。この命なら魔界に捧げます。」



国王は兵士に処刑準備を命じ、部屋から追い出した。


「…セナ、本当にいいんだな?私の権力を使えば処刑などは防げるのだが…」

「いいですよ。魔界の掟ですし、自分の無力さも知ることができましたし」



国王は悲しい顔をすると、「そうか…」と言いながら窓を見る。

つられてセナも窓を見る。

仲間のことを考えながら…






++++++++++++++






「ここが魔界!?」



青い空、白い雲、目の前に広がる草原。



「ず、ずいぶん想像と違うな…」



そこにグレイ達はいた。



「ここは魔界第一城の敷地内だ。なんだ、どんな想像してたんだ?」



ジローが先程呟いたグレイに訪ねる。



「いや…もっと暗くてどんよりしててって感じな」



グレイが言うとエルザも頷く。



「私もそう思っていたぞ」


ハハハとジローは笑った。


「確かに、そんな時もあるけど、いつもはこの天気だぞ」



ジローは北に見える城を指さす。



「あの城は?」

「魔界第一城。セナの家だ」

「へぇー…」



ナツは城を見ると、ジローに訪ねる。



「あそこにセナがいるんだな」



風に靡くナツの髪からみえる真剣な目が、物語っていた。



「ああ。早く行こう」



グレイ達は小走りに城へと向かって行った。



「…紅次郎王子と…人間?」



城の影から見ていた一人の兵士が、グレイ達を見つける。



「国王様に知らせなくてはっ!!」



兵士は、走って王室に向かって行った。






++++++++++++++






「…では行くぞ、セナ」



「はい」



王室にいる国王とセナは、処刑室に向かおうとしていた。



「こ、国王様ぁっ!!」



バァン!!と王室のドアを開けるのは先程の兵士。



「なんだ」



「じ、城内に侵入者が!!」


息を切らせて喋る兵士を、国王は見る。



「侵入者?」



セナはまさかと思っていた。



「はいっ!!紅次郎王子と、桜髪と黒髪と赤髪の人間です!!」

「っ!?」



なんでここに

グレイ達が――



セナの様子を見た国王は、



「セナを連れ戻しに来たらしい」



と言う。



「ち、ちがっ!!」

「私達が消して来ましょうか?」



突然声がした。



「っ!?」

「おお、行ってくれるか?」



そこには二人と一匹の人影が―



「はい。国王様」

「リ、リル!?」

「ぺぺ!?」



そこにはペネレの村で遭遇した墮天使リルとパートナーのぺぺ、それと



「……」

「い、一茶君も!?」



そこには狼族"白銀"の一茶がいた。



「消してきてくれるな」

「もちろん」



リルはニヤリと笑うと、ナツ達のもとへ歩き出す。



「だ、だめっ!?」



ボスッと鈍い音がした。



「セナ!!」



ペルが叫ぶ。

国王がセナのみぞおちを殴ったのだ。



「セナは黙らせた。時期に処刑する。そっちは頼んだぞ」

「はい」



三人はゆっくりと王室を出て行った。






++++++++++++++++






「ここから入れるぞ」



城の裏口に来たナツ達は、城に入ろうとしていた。



「セナは何処にいるんだ?」

「多分処刑室だ」



ジローは裏口を開けると、城内に入る。



「中も広いな」



綺麗に装飾された窓や床を見て、グレイが呟いた。

すると、



「問〜題〜!!」

「!!」



突然正面から女の声がした。



「なんだ!?」

「適か!?」



エルザとナツが身構える。


「セナ姫はこの後どうなるのでしょうか」



グレイとジローも身構える。



「1、死ぬ、2、死ぬ、3、死ぬ…正解は」



リルがニヤリと笑う。



「全部正解」

「てめぇっ!!」



リルにいきなりナツが殴りがかる。



「ぺぺ!!」

「は〜い」



パシッ



「な!?」



ぬいぐるみみたいだったぺぺが、天使の女に変わっていて、ナツのパンチを軽く受け止めていた。



「!?天使!?天使がどうして魔界に!?」

「私は墮天使なの。だから魔界にも入れる。」



ブレスレットを見せながらリルは言う。



「貴様、よくもセナのことを!!」



エルザがリルを睨み付ける。



「やだこわ〜い」

「黙れ!!おいジローにグレイ!!先に行け!!ここは私達に任せろ!!」



エルザが叫ぶと二人はコクリと頷く。



「頼んだぞ!!」

「おう!!」



二人は奥に走って行くと、エルザとナツはニヤリと笑う。



「ナツ。そいつを倒せるか?」

「当たり前だ。そう言うエルザも倒せんのか?」

「バカにするな」

「何ごちゃごちゃいってるの?」

「ねえリル、このピンク君倒していい?」



ヒラヒラと一枚の羽が床に落ちる。



「行くぞ!!」

「おう!!」

「行くわよぺぺ!!」

「うん!!」



城内裏口での戦いが始まった。



「処刑室って何処だよ!!」
「この下だ!!」



城内奥を進むジローとグレイは、セナが向かっている処刑室への道を急いでいた。



「あの階段を降りたらすぐだ!!」



廊下の突き当たりの階段を降りようとしたその時!!



「下はいかないでよ」

「!?」



いきなり階段から人の声が聞こえた。



「誰だ!?」

「し、しろ!?」



突然叫ぶジローをビックリしてグレイが見る。



「やっほー、ジロー」



そこには狼族の一茶がいた。



「…知り合いなのか?」



ジローを見ながらグレイが言う。



「ああ。グレイ、先に行け、ここは俺に任せろ。」



ジローはギィの銃を構えながら言う。



「……任せた」



グレイはそう言って階段を降りて行った。



「優しいね、ジローは」

「なんでしろがここに?」


ジローは悪魔の姿に変身する。












それぞれの戦いが、今始まった











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