15.THE・STRONG・TEAM「…で、魔界にはどーやって行くんだ?」
妖精の尻尾で、ナツが言った。
「それもそーだな…こんな大人数一気にってなると…」
グレイはそういいながらジローを見る。
「それなら心配しなくていい。」
ジローは服の内ポケットから綺麗な黒い石を取り出す。
「なんだそれ」
ナツが黒い石をのぞきこむ。
「その石が魔界に行くのに必要なのか?」
グレイも黒い石をのぞきこみながら言う。
「俺1人なら必要ないけど、大人数の時はこの石、"移動石"が必要なんだ。」
ジローは腰バックに入っていた相棒のギィを呼ぶ。
「ギィ」
「わかってるよ」
ギィはペルと同じ銃に変身する。
「!!それはセナが使ってた…」
ナツの反応をよそに、ジローは移動石を銃の中にセットする。
「よし。おい!準備はいいか?」
「ちょっとまてい!!」
後ろにいた妖精の尻尾のマスターマカロフが、そういいかけたジローをさえぎる。
「なんでだよ!!じっちゃん!!」
「じーさん!!」
「マスター!!」
ナツとグレイとエルザが叫ぶ。
「皆を行かせることは出来ぬ。」
マカロフの発言にナツがキレた。
「どーゆーことだよじっちゃん!!セナは仲間じゃねーのかよ!!」
そーだそーだ!!と皆がざわめき出す。
「今、この街からわしらがいなくなったら誰がこの街を守るのじゃ?」
う…と皆が黙り込む。
「っ…でもセナが――」
「誰が行ったらいけないといった!!」
「え…」
ナツがマカロフを見る。
「わしは"皆は行かせられない"といったが数人なら行っても構わん!!」
ナツはマカロフ見て苦笑いする。
「んだよそれ…早くいえよ!」
そして苦笑いから笑いに変わる。
「ナツ!!グレイ!!セナを連れ戻してこんか!!」
「おう!!」
「当たり前だ!!」
「マスター!!」
突然エルザが叫ぶ。
「なんじゃ」
「私にも行かせて下さい!!セナは大切な仲間です!!」
妖精女王(ティターニア)のエルザ
それが彼女につけられた異名。
彼女は妖精の尻尾最強の女で、妖精の尻尾最強候補の一人でもある。
特別な魔導士にだけ与えられるS級魔導士の称号をもち、怒ると怖いが仲間思いでいい人だ。
直接にはセナとの関わりはあまりないが、あんなに優しいヤツは見たことないとエルザがマークしていた魔導士の一人である。
「…うむ。わかった。お前も行ってこい、エルザ」
エルザは一緒ホッとし、マスターを見る。
「ありがとうございます」
ギルドの皆はナツ、グレイ、エルザの三人を見て騒ぎ出す。
「フェ、妖精の尻尾最強チーム復活!?」
ルーシィが叫んだ。
妖精の尻尾最強チームとは、前退治した闇ギルドを潰す時に結成されたチームで、ミラがその異名を作ったのだ。
「じゃあ、魔界に行くのはお前ら三人でいいのか?」
ジローが三人に訪ねる。
「ああ」
エルザがそう返事をすると、ジローは銃をギルドの床に構える。
「何するんだ?」
「まあ見てろって準備はいいな?」
そしてジローは引き金をひく。
「我、魔界と人間界をつなぐ者、汝、その呼び掛けに答えゲートを開け!!」
バァン!!
ブァっと煙が立ち込める。
マスター達は煙をかぎ分け、ジロー達を見た。
「あれ……?いない……」
もういた場所にはジロー達の姿はなかった。
「ナツ…」
マスターは床を見つめ、たちすくした。
"頑張ってこいよ"と
十六へ
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