5.小さな異変「んでぇー、本当に何もしなかったの?二人とも!!」
次の日のギルドにて。
「本当だって!!何もしてねぇぞ俺は!!」
「うん!私も!!」
グレイとセナはあのまま何もなくギルドへ行き、ルーシィとナツとペルもギルドへ帰って来てと、昨日と変わらない光景になっていた。
「…本当?特にグレイ」
「んなっ!!//俺がんなことすると思うかっ!?」
「セナァ〜!!」
「ペルゥ〜!!」
セナはペルと笑顔をかわしている。
すると、
「セナー!!」
大声を出してやって来たのはナツだ。
「どうしたのナツ」
「セナっ!!仕事行こーぜ!!」
魔導士ギルドとは、魔導士に仕事をくれる場所らしい。
「仕事!?セナも行くならあたしも行く!!」
「んじゃ、俺も行く」
「って!!私行くなんて一言も―」
「決まりだなー!!」
ナツたちは勝手に用意し、セナに呼び掛ける。
「行こーぜ!!セナ!!」
ニカッとナツは笑う。セナは「はあ…」と溜め息をつく。
「ハイハイ。行けばいいんでしょ?」
ナツとセナが笑って、二人で仲良さそう(実際仲はいいが…)に話していたためか、グレイが不機嫌そうだ。
「…ナツ。仕事の内容は?」
「いい加減にしろ」と言いながらナツからセナを引き離す。
「なんだぁ〜グレイ。妬いてんのかぁ〜?」
「ちげーよ」
グレイはまた不機嫌そうな顔になると「だから仕事の内容はって聞いてんだろ!?」と言い返した。
「わぁったよ。えーと、仕事の内容は、【村で暴れている「操り人形(ゴーレム)」を倒して下さい。】報酬は四百万Jだぞ!!」
「うわ高ーい!!」
「"操り人形"だぁ?強ぇのか?」
ニコニコしたルーシィが、
「セナがいるから大丈夫よ!!ね?セナ!!」
と言うが、
「……」
セナはずっと黙っていた。
「どーした?セナ」
ナツが訪ねるが無視。
「…なぁセナ…それって…まさか…」
「うん…多分。ねぇ!!」
ペルと話した後、セナはナツに話しかける。
「ど、どーした!?」
「その仕事の村の名前って、「ペネレの村」・別名「強欲の村」でしょ?」
ナツは依頼の紙をもう一度見る。
「…ああ。ペネレの村だけど、どーしてわかったんだ?」
セナはナツを見て、こう告げた。
「その村はダメよ!!絶対行っちゃダメ!!」
いきなり叫んだセナに、ギルド全員が注目する。
「ああ。俺からも言う。"人間"のお前らは特に。」
セナとペルがいつになく真剣に言った。
騒がしかったギルドもしんとなる。
「…なんでダメなんだ?セナ」
「人間って…お前もだろ?」
ナツとグレイが「どうしたんだ?」という目で見る。セナは少しうつ向くと、いつもの笑顔を見せてギルドのみんなに言った。
「…なーんてね!!ウソウソ!!私が村の名前を知ってたのは私の"知り合い"がその村にいるからよ!!」
「騙された?」とセナは笑って言う。ペルは何も言わずにバックに戻った。
「そうだったか!!安心したぜ!!じゃ、はやくいこーぜ!!」
「はやく行きましょ!!(四百万♪4人で割っても百万♪)」
「……」
「うん!!」
3人は勢いよくギルドを走って行った。
だが、ただ一人黙って立っている男――グレイがいた。
「…なんか隠してるな…アイツ…」
昨日の"目"の事といい、今日の事といい、なんか変だ。と、グレイは心で呟く。
「グレイー?はやくー!!」
途中でグレイがいないことに気づいたセナは、笑顔で呼び掛ける。
グレイは「…まあいいか」と呟いて、セナの方にかけて行った。
六章へ
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