4.’魔の紅眼’の疼く夜
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「今日の夜は満月か?ヘビン」



魔界の城。そこは魔界二大王国の第一城のことで、セナの家でもある。



「はい。国王様。そして、セナ姫の"魔の紅眼"の反応する夜です。」



国王はカツカツと足音をたてながら窓に向かってあるきだし、窓の外を見て口を開く。



「…そうか」



国王が目をつぶると、執事のヘビンがゆっくりとした口調で口を開いた。



「セナ姫と、二大城の紅次郎王子がもっている"魔の紅眼"は、血が滲む"満月"に反応します。ですか、"狩る者"(ターゲット)が近くにいる場合だけですがね。」



ヘビンも窓の外の満月を見る。



「セナ…」



国王は臼ぐらい紅色の空を見上げて言った。















その頃、その臼ぐらい紅色の空の下を歩くセナとグレイは…



「…」

「…」



ギルドを出てから今までずっと、沈黙が続いていた。セナは最初はグレイの横を歩いていたが、沈黙が続いたため、今はグレイの後ろを歩いている。



「……なぁセナ」



すると突然今までずっと黙っていたグレイが口を開いた。



「…何?」



セナがグレイの後ろ姿を見る。



「…何でお前は妖精の尻尾に来たんだ?…何か理由があんだろ?」

「…」



グレイが前を向いたたまま、立ち止まって言う。



「…じゃあ」



セナはグレイに近づいて、するりと自分の手をグレイのアゴにおく。



「!?//」

「知りたい?その理由。」


グレイは驚いていて、セナはグレイをじぃ〜っと見つめる。



「セナっ!?//お、俺はっ別にっそんなことはっ//」

「プッ!!」



グレイの超慌てっぷりにセナは思わず吹き出した。



「…は?」

「アッハハハハ!!」



セナは超笑っている。



「…おい…セナさんよぉ…お前は俺をからかってんのか…?」

「ハハハ…冗談よ!!ごめんごめん」



セナはグレイを見てまた笑った。















「…なぁギィ…セナは今頃どうしてっかなぁ…」



同時刻。人間界で"魔の紅眼"の"狩る者"を探していたもう一人の"魔の紅眼"の持ち主、さくら紅次郎は、偶然拾われた小梅田花の家のベランダでペルの双子の弟のギィに呟いていた。



「ジロー。まだ仕事に来て一日もたってねぇんだぞ!?いくらあのエリートのセナでも…」

「いや、セナはいつも一時間位で仕事から帰って来るじゃないか。」

「じゃ、もう魔界に帰ってんじゃね?アイツにはペル兄もいるんだし」



ギィは、もう暗くなってきている空と、ジローこと紅次郎を見ながら言った。
ジローは「はぁ」と溜め息をついて、空を見ると、セナの顔を思い浮かべながらギィに言った。



「なぁギィ。明日セナに会いに行こう!!」

「はぁっ!?ここから魔界は二日はかかるぞ!?」

「ああ。でも明日から行けば今から三日後にはつくだろ?いいじゃん!!」



ギィはあきれて「解ったよ」と言うと、

「魔界に帰ったら何かおごれよ」



といった。

ジローは笑ってこうかえした。



「OK!!」















「ここが俺の家だ。」



その頃、二人はグレイの家についていた。
外見はシンプルでけしてボロくはない。



「んで、ここが俺の部屋」
「お邪魔します」



セナはきちんと靴を揃えて部屋に入ると、まずぐるりと部屋を見渡した。
部屋はワンルームで、ワンルームといってもピンからキリまでだか、グレイの部屋は人二人はゆったり暮らせる位の部屋だ。



「すまねぇ、きたねぇだろ?」



グレイが言ったので、もう一度部屋を見てみると、ところどころに脱ぎ散らかした服等が散乱していた。



「ううん。そんなことはないよ」



笑顔を見せると、グレイは少し顔を赤くして、



「じゃ、テキトーに座ってくれ。」



といった。



「うん」



セナはその場に座り込んだ。



ズキッ



「いっ」



目に、一瞬だけ痛みがはしる。



「たぁ〜」

「どうした!?」



突然目を押さえてうめき声をあげるセナに、グレイは近寄る。



「目が痛いのか?セナ」

「…!」



グレイが声をかけてくれたおかげで、何故か痛みが引いた。



「…ううん。もう大丈夫。ありがとグレイ」



グレイは少し安心した様子を見せて、次にこういう。


「夜、なんも食ってねぇだろ?何が食いたい?」

「えっ?いいよ!泊めてくれるだけでも嬉しいのに!」

「え?」



スクッとセナは立ち上がると、玄関の近くにあった台所に向かった。



「いいのか?」

「うん!私料理は得意なの!で、何が食いたい?」



グレイは「お前が得意なの」と答えてさっき脱いだジャンパーをもう一度着た。


「いいけど、どっか行くの?」

「ああ。お前もついてこいよ。冷蔵庫の中なんもねえし、買い物に行く。」



グレイは男女どちらでも着れるようなジャンパーをセナに手渡した。



「?着ていいの?」

「ったりめぇだ」

「ありがと。」



セナはありがたーく着ると、玄関に向かった。


「行こ!」

「ああ」



その後、二人は買い物をし、周りのオバサンたちから「若いのに大変ねぇ」と言われ、レジでは「お幸せに〜」とハートのシールをもらい、周りから完全に"夫婦"と見られている二人は、グレイは照れくさそうだが、セナは気づいてもない様子だ。
そして、家に帰り、セナの得意料理の"カレー"を作って二人で食べ、「覗き見とかしないでよね」と言いながらセナはシャワーを浴び、ちょっと興味があったが覗き見したら後々怖いのでグレイは覗き見をやめた午後十時ちょっと過ぎごろ。
「気持ちよかったぁー」セナはやっとシャワーをおえ、部屋に戻ってきた。



「あ、お前ベッドで寝ていいぞ。俺下で寝るから。」


グレイは床を指しながら言った。



「え…でも、グレイのベッドでしょ?私が下で寝ても…」

「だめだ」



グレイはセナを見た。



「俺も一様男だぞ。女を床に寝かせるようなことはしねぇよ」

「あ、ありがとぉ//」



何か少しセナはグレイにドキッとし、顔を伏せた。



「お、月が綺麗だぞ」



グレイはカーテンと窓を開けると、セナに「こいよ」と呼び掛ける。



「うん」



と言ってグレイの横に来て、月をみたその時、



「つっ!?」



またあの痛みがはしった。
セナはその場に座り込む。



「!!大丈夫かっ!?」



グレイもその場に座り込む。

月明かりがさすにつれて、目の痛みもひどくなる。



「…ごめ…グレ…イ…窓とカーテン…閉めて…」

「あ、あぁ、わかった!!」


グレイはサッと窓とカーテンをしめ、また座り込む。


「…大丈夫か?」

「……うん…」



セナはまだ痛む目を押さえながら立ち上がると、呟いた。



「なんでっ…この"魔の紅眼"(め)が疼くのっ…!」


その言葉は、しっかりグレイに聞こえていた。



「(めが疼く…なんのことだ…?)」



グレイは少し疑問を浮かべながら、この日の夜はあけた…


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