朝の出来事
「おはようございます」
朝起きて、色々支度して食堂に行くと、調度エルヴィン団長がいた。
エルヴィン団長は「おはよう」というと空いていた自分の前の席を指差した。ここに座れと言うことなのだろう。私は「では朝食をとってきます」と言い、席を離れる。
ここは調査兵団の食堂だ。調査兵団団員は基本的に食事はここでとる。
調査兵団副兵士長の私も、他の団員同様、食事はここでとっている。
なにせここの食事はうまい。
今日の朝食をうけとり、席に戻ると、エルヴィン団長の他に、もう一人いた。
そいつはエルヴィン団長から私が座れと言われていた席に座っていた、私の同僚でもあり、上司でもあるその男は私の存在に気づくとにやりと笑った。
「・・・どいてよ」
「まずはおはようだろうが」
「・・・うっせーどけよチビ」
「お前削がれてぇのか?」
「まぁまぁ、朝からやめなさい」
エルヴィン団長に止められたから私は振りかぶっていた手を下ろす。
チビでそのくせ太ってて陰険で刈り上げで死滅した表情筋の持ち主であるこの男、リヴァイは、同じく振りかぶっていた足を下ろすと、ふんっとした様子で朝食を口に運び始める。
「ちょっと、そこどきなさいよ」
「あん?隣にでも座ればいいだろ」
「あんたの隣なんて嫌に決まってるじゃない」
「じゃあお前が好きで好きでたまらないエルヴィン団長様の隣でも座っとけ」
「それじゃあんたの顔が見えるじゃない。どっか行きなさいよ」
「嫌」
くっそこの男本当なんなんだよ。どっか行けよクッソ。
とかなんとか思っていたら急に腕を引っ張られて体がぐらつく。
誰だ、と思ったら案の定エルヴィン団長で。
「団ちょ」
「それじゃあ私と2人であっちで食べるかい?ここで食べたら喧嘩ばかりして食事にならないから」
「あ、はっはい!!喜んでっ!」
エルヴィン団長は優しく微笑むと私の腕を掴んで奥の方の席へと移動していく。
その間じーーーっと見ていたリヴァイにガンを飛ばしてやった。ざまーみろ。エルヴィン様は私を選んだよーだ。
そんな目で見てるとリヴァイも同じようにガン飛ばしてきたからさらにガンをとばしてやることにした。
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「名前。なんでそんなにリヴァイを嫌っているんだい?」
「へ?」
団長に連れてこられた食堂の奥の方の席で、団長は言った。
「うーん、なんででしょうね。あいつが私より昇格したから?」
「はははは。名前らしい答えだよ」
リヴァイと私は訓練兵時代からの馴染みだ。卒業試験は私が主席で卒業したというのに、気づけばあいつが兵士長で、私は副兵士長。
「でも君もリヴァイも実力はほぼ同じさ。」
「そうでしょうかねぇ・・・」
「ああ。君は強い。これからの活躍にも期待しているよ」
「っ!!ありがとうございます!!」
団長は優しく微笑んで、「じゃあ会議があるから先に失礼するよ」といいその場からさっていった。ああ団長かっこいい。団長と結婚できたらそれはとても幸せだろう。
私は実は団長が好きで好きでたまらないのだ。あの低い声といい顔といい性格といい、すべてがかっこいい。もう本当好きだ。結婚したい。
どうしたら団長ともっと親しい関係になることができるだろうか。あああ考えるだけで楽しい。
「なーに気持ち悪い顔してんだよ」
「!」
余韻に浸っているといきなり頭上から聞きたくない声が降ってきた。ああ、この声は、喋り方は、
「・・・リヴァイ」
「今日の会議、オマエも出席しないといけないんだと」
「そう」
「なんだ、ありがとうだろ?」
「アリガトウゴザイマス」
「くっそお前いつか削いでやる」
それだけ言うとリヴァイはくるりと背を向けさっていった。
会議に出ないといけないのはめんどくさいが、エルヴィン団長を拝むことができるのでよしとしよう。
ああ、会議が少し楽しみになってきた。
私は残りの食事を飲み込んだ。