episode5 皆覚えていない
部活も終わり、暗くなった空を見上げながら昨日の公園へと急いだ。
きっと青峰は部活をサボっているはずだ。もう公園にいるはず。
息を切らせて公園につくと、案の定昨日のベンチに雑誌を頭にのせ青峰は寝転がっていた。
俺が近づくがどうやら気づいていないらしい。「青峰」と呼ぶがピクリとも動かない。どうやら待ちくたびれて寝てしまったらしい。名前を呼んでも起きないため、雑誌をはいで顔をつねれば、「んーー」と言ってパチリと目をあけた。
「………」
「おはよう青峰。待たせたな」
「…おせーっての」
青峰は眠そうに目を擦るとひょいっと起き上がりベンチに座り直す。俺は青峰の隣に腰かける。
「お前は部活はサボったのか?」
「当たり前だろ」
「当たり前ではないだろう。部活に所属しているならばちゃんとこなさなければならないのだよ」
「んなかてーこと言うなって。試合で勝てりゃそれでいいんだよ」
「はぁ……」
あまりにも青峰が自由すぎるので思わず溜め息が出た。夏の夜はなんて蒸し暑いのだろう。よくこんななかで青峰は寝れたものだ。
「…で、何故呼び出したのだよ」
「ああ。昨日黄瀬とテツに高尾のこと聞いたんだよ。そしたらやっぱ知らねーって。ついでにさつきも知らねーって言ってた」
「…そうか」
「で、紫原と赤司はどうだった?」
「2人ともやはり知らなかったのだよ。だが赤司には高尾のことは全て話した。高尾が消えた理由を探すのに協力してくれるそうだ」
「ふぅん…」
「実に頼もしいのだよ」
ふっと俺が笑うと青峰は不機嫌そうな顔をする。
思わず青峰を見るが顔を背けられてしまった。なぜなのだろうか。
「…話はそれだけか?」
「ああ」
「悪いな、協力させてしまって」
「別にいーよ。それより、これからどうするんだ?」
「……そこが問題なのだよ」
皆が高尾の事を覚えていないことは十二分にわかった。だがそれを知ったところで、高尾の居場所を突き止めることは無理だ。なんの手がかりもない今、俺になにができるのだろうか。
「とりあえず本でもあさって今回と似たようなことが起きていないか調べてみるのだよ」
「おぅ。俺もネットとかで調べてみるよ」
「わかった。」
日もくれてきたのでとりあえず青峰と別れて家に帰った。
何も言わずに消えた高尾。その理由はなんなのだろうか…