彼女の名前は桃井さつき



「ね、ねぇ、大輝、さん?」

「あ?」

「ちょ、どこいくの!?」



食事をすませた直後に大輝に腕を引っ張られた私。5分くらいずっと腕をつかんで足早に歩く大輝。



「だからさつきのとこだって」

「いや、さつきって誰!?」

「ん、あーー、俺の幼馴染み」

「へえ、じゃなくて!」




一人で行けば!と言うといきなり大輝は足を止めた。
急なことに私は大輝に思いっきりぶつかった。装備している甲冑が顔に当たって超痛い。



「いっ」

「ほら、ついたぜ、名前」



大輝はそういうとパッと私の腕を掴んでいた手を離した。
私はまだ痛む顔をあげる。



「…宿?」



目の前には青と白が印象的な綺麗な宿屋が、あった。
看板には「peach」と描いてある。名前が桃なのに外見が青と白とか変なの、と思っていると、私の前にいた大輝があるきだした。



「ほら、行くぞ」

「あっちょ、まってよ大輝!」



私はさっさと宿屋に入る大輝の背中を追いかけた。





「ちわーす」



がちゃり、と扉をあけて中に入る。
中も青と白で統一されていて、とてもおしゃれだった。中々広い。

すると、奥の方から誰かが出てきた。



「もうっ!大ちゃんったら!やっと帰ってきた!」

「だ、大ちゃん?」



出てきた人は女の人だった。
ピンク色の綺麗な髪に顔もスタイルもいい彼女は、私と同い年かな、と思われる風貌だった。



「悪かったって、な、機嫌直せよ、さつき」

「もう別に怒ってないし!心配したじゃない!って、そちらは?」




どうやら彼女がさつきらしい。
大輝もいい幼馴染みもってるな、と思いながら彼女の質問に答える。



「あ、はじめまして、苗字名前っていいます」

「ため口でいいよ!私は桃井さつき!よろしくね、名前! 」

「こいつは俺が倒れてる所を助けてくれたんだ。面白いやつだからつれてきた」



面白いって、なによ、と大輝にいうとさつきから笑われた。



「珍しいね、大ちゃんが人をここにつれてくるなんて。さ、座って座って」



半ば無理やりさつきにロビーにあるソファに座らされた。

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