必ず、 |
ガチャリ、とドアを閉めると、俺は盛大にベッドにダイブした。 今日、偶然出会ったあいつ、名前。 見た感じ腰にレイピア刺してるから剣士なんだろうけど、なんかこう、ただならぬ何かを感じた、ような気がした。 さつきから「名前が姫」と聞いたときは正直焦った。確かに顔は可愛い、胸もデカい。でも、なんで姫がこんな武装してプラプラ歩いているのか、すげぇ知りたかった。 しかも、名前は明日グランドフォールに行くと言い出すし。 なにかやりとげなくてはいけないものがあるんだろーが、あの危険なグランドフォールに、女一人で行かせる勇気はさつきにもさすがになかったらしい。 なぜか俺もグランドフォールに行くことになったが、なんせ、俺は強くなった。もしも、名前に何かがあっても、必ず守ってみせる。 なんでかしんねーけど、名前を始めてみた時からすげぇ気になるんだ。アイツのことが。 とりあえず色んな考えをすべて飲み込んで、寝よう、そう思った。 改めて体制をたて直しごろんと仰向けになる。 視界にかすかにはいる、俺の愛剣、ブルークロニクルをちらりと見て、静かに瞼を閉じた。 *************** 「何?名前が動き出した、だと?」 サファイアーネ王国から遥かに離れた暗黒の国、ダークネス王国で、王・ダークがそう行った。 「はい。先ほど、そのような情報を聞いて、自分の目で確かめてきました。」 「名前は近くに?」 「いいえ。ここから遥かに離れたサファイアーネ王国に。」 「…お前の"あの"魔法を使ったのか?」 「はい。」 ダークと話しているのは真っ黒で口まで隠れるマントを羽織っている、髪は水色の少年だ。 背はあまり高くはなく、髪以外真っ黒なので、かなり影が薄く感じる。 「サファイアーネ王国ということは、名前はやはり"5つの涙"を?」 「そのようです。明日、5つの涙の1つ、"青の涙"をとりにいくみたいです。」 「そうか… でもなぜそこまで知っているのだ?」 「とある"情報屋"から情報を買いました。」 バサリとマントがゆれ、髪の水色の少年がくるりと後ろをむく。 「じゃあ、僕はいきますね。」 「ああ。」 「できるかぎり青の涙はとられないように頑張ります。」 「頼んだ。」 「はい。」 再びマントがゆれたかと思うと、そこには少年の姿は無かった。 |
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