「た、大我っ!!」
校門からずっと早歩きで私の手を引っ張ってきた大我。
大我は私をチラリと見て、目の前にあった公園に入る。そしてドサリとベンチに座った。
「大我?」
「……大丈夫か?」
「え?」
「さっきの。びしょびしょだったし、ひでーこと言われてたし」
「う、ん。って、大我こそ大丈夫なの!?学ラン私が着てるし!」
「俺は大丈夫だ」
ポタポタと赤い髪から滴り落ちる水滴。
Yシャツも濡れてて、肌が少し透けている。
不意に色っぽいな、なんて思ってしまった私。こんな時にどうかしてるよね。
「…名前」
「な、なに?」
「お前、不登校とか、考えなかったのか?」
「え?」
不登校か。私も最初は凄く考えた。でも、不登校になったらなんだかあいつらに本当に負けるような気がして。
だから、まわりからどんなに罵声が飛ぼうとも、あいつらにいじめられようとも、不登校にはならないって決めたんだ。
と、大我に告げると、大我は大きな手で私の頭をわしわしと撫でた。
「お前は本当に強いな。それだったらぜってー負けねーよ。いずれ、同じ中学校にもわかってくれる奴がでてくる」
「…うん、ありがとう、大我」
「俺なんもしてねーよ」
「私に勇気を与えてくれるよ。本当にありがとう」
ニコリと笑うと大我は顔を真っ赤にして、「…あぁ」と言った。
本当に大我は優しいな、なんて。
心のどこかに大我に凄くひかれることがあって、大我が好きなのかな、なんて。
そんな思いも、心のどこかにしまった。