「ミラちゃんおはよ」
「あら、グレイ、おはよう」
「おはようございます」
「あらジュビア、2人できたの?珍しいわね」
今日は珍しくジュビアとグレイは2人でギルドに来た。
私が見る限り、2人は何かが吹っ切れたみたいな、そんな顔をしていたの。
「どうしたの2人共、なんだか清々しい顔をしているわよ?」
「あ、バレました?」
「おい、ジュビア、」
「いいませんよ〜あれはジュビアとグレイ様のヒミツです!」
「あらら、仲がいいわねぇ」
「おいおい」
グレイは呆れ顔だけど、どこか嬉しそうで。
グレイも、ルーシィを忘れてジュビアと・・・なんて思った私は最低よね・・・
「おい、ミラ」
「!」
すると、グレイとジュビアの後ろに、随分と怖い顔をしたナツが立っていた。
「あら、ナツ、おはよう、どうしたの?」
「お前に聞きたいことがある、今話せるか?」
「どうしたんですか?ナツさん」
「・・・どうもしてねぇよ」
「いいわよ、ナツ、じゃあ医務室でまってて、お皿洗ってすぐ行くわ」
「・・・おう」
そういってナツは怖い顔のまま医務室に入っていったわ。
「なんだアイツ」
「どうしたんでしょう、怖い顔でした」
「さぁ・・・なにかわたしがしたかしら」
「聞きたいことってんだから、ミラちゃんがしたことじゃねぇだろ多分」
「そうかしらねぇ・・・」
私は手に持っていたお皿をささっと洗うと、心配するグレイとジュビアに別れを告げ、医務室へ向かった。
******************
「・・・で、話ってなんなの?」
医務室にきたはいいもの、ナツはずっと怖い顔。
「・・・ミラのことじゃねぇんだけど」
「じゃあなに?」
「・・・グレイと、ジュビアのこと・・・」
驚いたわ。ナツからそのワードがでるなんて。
「昨日、たまたま散歩してたら道で聞こえたんだ。「俺はルーシィを愛する資格なんてない」、「そんなことはありません」って・・・」
「・・・」
2人が清々しい顔をしていた理由はそれか。
きっと、2人で言い合って、解決したんだろう。
「・・・なんでそれを私にいうの?グレイとジュビアに聞けばいいじゃない」
「ミラの方が説明してくれると思ったんだ」
「でも昨日私はいなかったわ」
「いいんだ、きっとミラなら知ってる」
ここで、私は本当のことを言っていいのかしら…
そしたらナツも記憶を取り戻すかもしれない。
「昨日、ジュビアが「ルーシィさんの記憶が戻るまで」って言ったんだ。それって、ルーシィが記憶喪失ってことか…?」
「……」
「俺なりに昨日の話をまとめると、グレイはルーシィと付き合っていたようにしか思えねぇんだ」
「…でもナツはルーシィと付き合っているじゃない」
「だからあたまんなかがグッチゃなんだ!だーーもう俺はなんなんだよ!どうすればいいんだ!」
「ナツ」
ねぇグレイ、
私がナツに本当の事をいうのを許して。
だって私、あなたが、ジュビアが辛い顔をしているの、見たくないもの。
「?」
「本当の事を言うわ。でもこれだけは守って。ルーシィにはすぐには言わないで」
「…わかった」
ルーシィに言ったら、きっと混乱して、グレイに罪悪感を感じるでしょう
「…確かにルーシィは記憶を失っているわ。でも、あなたもよ、ナツ」
「なっ、俺はっ」
「三ヶ月前、ナツは魔法にかかって倒れたの。ナツが愛しているひとに愛されないと死んでしまう魔法」
「な、んだよ、それ」
「ナツが愛していたのはルーシィだった。でも三ヶ月前は、グレイとルーシィが付き合っていたわ」
「グレイと、ルーシィが…」
「だからルーシィとグレイは、話し合ったの。あなたを死なせないように」
「……」
「そしてルーシィは私が持ってきた薬、今愛しているひとを忘れて、薬を飲んでから最初に見た人を愛するっていう惚れ薬を」
「っ……」
だんだんとナツの表情が暗くなってきてる、
「そして私たちはナツ、あなたにも重荷を与えないように記憶を操作する薬を飲ませたわ。ここ三ヶ月、グレイが、ジュビアが、みんながおかしかったのはそれが理由。」
「そ、んな…ルーシィの記憶を戻す薬はねぇのか!」
「あったらあなたには悪いけど…とっくにそうしてるわ」
「っ、俺は、仲間を、グレイをたくさん傷つけたっ、」
「それは違うわ。グレイも、ルーシィも納得してのことだもの。今、グレイは心を閉ざしかけてる。だから、ナツもルーシィも、グレイにあまり近づかないであげて…」
「…わかった」
「ごめんね、急にこんなこと話して」
「…いや、俺がきいたんだ。それに、真実がきけてよかったよ」
ナツは扉に手をかけ、「ありがとな、ミラ」というと、去っていった。
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