ハンター試験開始





はてさて、やって来ました試験会場の入口。ここ、どこだと思う?
正解は……遊園地だよ咬み殺したい。
なんなんだろうね。
前回はデパ地下、前々回はどっかの歴史会館だったらしいし。
なんなの?何でわざわざ人が群れてる所を会場にするの?もうそのうち会場の入口が適当な民家とか定食屋になっても驚かないよ。

しかもこの会場、入るのに手順がある。絶叫系制覇って。馬鹿じゃないの。
もうね、咬み殺したくて咬み殺したくて。僕の両腕の震えを抑えるのに全力だよ。……別に厨二病とかじゃ無いからね?一瞬でもそう思った奴挙手。全員漏れなく咬み殺す。

閑話休題。
そんな訳で、無駄な筋肉が犇めく遊園地で咬み殺したいのを我慢しながら列に並んで(快く()順番を譲ってもらったりして)、漸くハンター試験の控え室のような部屋に通された。
その時に受け取ったナンバープレートは51。
50人が多いのか少ないのか知らないけど、たぶん少ないんだろう。ムサイのがまだ遊園地内にいっぱいいたし、控え室もかなり広い。
そういえば過去の参加者も数百人単位だったっけ?
読み飛ばしたけど、そんなことも書いてあったかもしれない。
…待つの面倒くさいなあ。そもそも嫌いだし。
ここで全員咬み殺したら、駄目かな。……駄目か。
仕方ない。適当に暇潰ししてようか。

◆◆◆

立ちながら持ってきた書類を読んでる間に、人が集まったらしい。

「これよりハンター試験を開始致します」
そんな言葉が聞こえて顔を上げた。
周囲に草食動物が倒れてるとか知らない。向こうか寄って来るのが悪い。

「それでは今より第一次試験を開始致します。方法は簡単。私に着いてきてください」
言うがいなや、走り出す試験官。先ほどまで閉まっていた扉が開き、その先には灰色一色のコンクリートに囲まれた一本道がどこまでも続いている。

ワォ、めんどい。いや、仕方ないから走るけどさ。
ざっかざっか走ること数時間。途中から上り坂になって一気に周りの奴らのスピードが落ちてった。どうでもいいけど。

漸くコンクリートのつまんない景色が終わると、今度は森だった。なんか試験官が馬っぽいのに乗って走ってく。何あれ、馬じゃないよ?馬っぽいナニカだ。
これはあれだね、森の中、なんか野生動物の気配いっぱいするから、適当に捕まえて乗れってことだよね。

はい、じゃあどいつかおいで。早く来ないと咬み殺すぞ☆

そう言ってみたら、立派な青毛の馬が来た。黒いのに青毛。日本語って不思議だよね。
しかもなんかコイツ、ここら辺のボスだったっぽい。走り始めたら、他の馬も追従してきた。
参加者涙目だけど、おっさん共の涙目とか需要皆無。さあ無視してサクサク進もうか。現時点で一位だよ。

馬に乗って追い掛けてたら、今度は湖に出た。
試験官は馬擬きに乗ってすいすい進んでる。あれ、水陸両用なんだ…。
流石にこっちは普通の馬だからね、ここでお別れ。頑張ってくれたからお礼に保存用匣から出した果物あげてから放した。こんなでかい湖は馬じゃ渡れないもの。

さて、どうやって渡ろうかな。死ぬ気の炎使って飛んでもいいけど、目立つよね。あんまり得意じゃないし。
じゃあ、よし。ゾルティック式で行こう。
沈む前に走る。
どこの忍者の修業だよって思ったけど、なんか暗殺術の一環でやらされたんだよね。こんな所で役に立つとは思わなかったけど。案外簡単に成功させちゃった時にはもう、この体ハイスペックェとか\人間卒業おめでとう!/とか頭過ぎったけどね!!

そんな感じで猛ダッシュなう。

ちらっと後ろ振り返った試験官がビクゥッってしてたけど知らない。

結果、無事一着でゴールしました。第一試験クリア。やったね。





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