I didn't care as long as you were happy.
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――本当に徳川を伐つのかと、幾度か問うた。
その度に、当たり前だと、大層彼らしい言葉が返された。
異なる世界であろうとも、ある程度『史実』と同じ道を辿るように紡がれてゆく『今』という歴史。
ならばその先はと、薄々予想はできていた。
金吾が裏切ることをも前提に入れて、万全を以てしても尚、一抹の不安が着いて回った。
「何をしている、刑部。行くぞ」
「……あい、あい。今行く故」
それでも時は進むのだ。関ヶ原という決戦へと。
立ち止まることは赦されず、戻ることは不可能で。
ならばこの、崩れかけた身でも、力の尽きる限り奮おうと思った。
彼の望みを叶えられるよう。
『史実』という未来も捻じ曲げてやろうと胸に秘め。
彼を押し退けて貫かれた。
「逝くなっ!私を置いて逝くな!!刑部っ!!」
何処か、遠くから聞こえる彼の声に、泣くなと言いたかった。
暗闇とも紛うような絶望の中で、光をくれた彼に。
何とか開いた口は、しかし音を発することはなく、僅かに空気を吐き出すのみ。
愚かな程に真っ直ぐな、哀れな我の唯一。
ただ我が願ったのは、彼の幸せだけであったのに。
ただ一つの願いさえ叶えることはなく。
泣くな。泣くな。最期に伝えたいのだ。
――幸いあれ、と。
やはり口から音はせず、ぷつりと意識が途絶えた。
何時か、何処かのベッドの上、目覚めた少女が泣いていた。
I didn't care as long as you were happy.
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捕捉
眠って起きたら子供になってた女の子。どうしてだとか虐待されてとかいろんな要因で絶望していたのを三成に救われた。
それからは三成を幸せにしたいと動くも史実通り関ヶ原が起こってしまった。
刑部として死んだらまた女の子として目が覚めた。
という設定。
分かりづらくてごめんなさい。
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