右目褪せ
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お買い物に行くまで暇で暇で、政宗と幸村と慶次と楽しくお話してたけど、みんなゲームの服じゃないんだってふと思って、気がついた。


「あー!そうだっ!」
みんなでお買い物行く前に、やらなきゃいけないことがあるじゃない!

「どうしたんだい?愛ちゃん」

慶次の言葉に頷いて話すの。

「あのねぇ!ここは慶次たちがいたより未来の世界だって話したでしょぉ?」
「うん、話を聞いたときはびっくりしたよ」
「それでねぇ、服装もね、みんなが今着てるのとは違うんだぁ」
「へぇ!それって今愛ちゃんが着てるのみたいなのかい?」
「うん、そぉだよぉ。みんなで言うと、南蛮?の服なんだぁ」
「hum.それが南蛮の衣装なのか。随分と大胆じゃねぇか」


「大胆…?…………破廉恥でごさるぅ!!」

幸村が初めてスカートに気づいたみたいで、反応がすっごくかわいい!!

そうよ!こんなのが愛が夢見てたことなの!


「ちょっ、旦那うるさい」

うーん、佐助はまだピリピリしてるみたい。
早く佐助ともお話したいんだけどなぁ。
あんまり急に話しかけたらびっくりしちゃうかなぁ?
警戒されないように、自然に話しかければきっと愛のこと好きになってくれるよね?

「頭から煙出してる初(ウブ)は置いといてよぉ、なんでまた着物の話になったんだ?」


そうだった!

「うん、それでねぇ、今の時代の人たちはみんな南蛮の服を着てるからぁ、政宗たちみたいな服だと目立っちゃうんだぁ」
「へーぇ」
「だからちょっとぉ、そのままの服装じゃ外に出ない方がいいんだよねぇ」
「hum.目立つとなんか悪いことあんのか?」

愛的には、このままみんな連れて歩いても全然構わないんだけどぉ、警察の人とかに見つかるとやっぱりめんどくさくなっちゃうよねぇ?よくわかんないけど、お話でもそんなこと言ってた気がする。

「うん、警察の人とかに見つかるとぉ、えっとぉ、…何だっけぇ?質問とかされてめんどうなことになっちゃうかなぁ。みんな、戸籍っていうのが無いからぁ、最悪、捕まって牢屋に入れられちゃうかもぉ。あ、あとぉ、武器持って外歩いてたら絶対捕まっちゃうからダメだよぉ」

「hum.確かに面倒くせぇな」
「じゃあ俺達は外に出られないのかい?」

ちょっとショボンってする慶次がかわいい!
「大丈夫だよぉ!愛が服も買ってきてあげるからぁ!」

「本当かいっ!?」

「うんっ!!だってせっかく未来に来たのに、外に出れなきゃつまんないもんね!」
慶次と幸村の目がきらきらしててかわいい!

「あ、でもぉ、愛、あんまり重いの持てないから、誰かと一緒に行きたいなぁ」
「?でも俺たちは外に出れないんだろ?」
「うん。だからぁ、愛が一人か二人分なら買ってこれるから、その後にみんなの分を買うのに手伝って欲しいなぁって。ダメかなぁ?」

首を傾げてみんなを見上げたら、「そんなことないよ!いい考えだと思うよ」って言ってくれた!

ふふっ!
やった!じゃあ誰と行こうかなぁ?


愛と一緒に行きたいって言ってくれたのは、やっぱり政宗と幸村と慶次だった。
他の三人はどうして愛と一緒に行きたいって言ってくれないんだろぉ?
小十郎と佐助なんか政宗と幸村に危ないからダメって言ってるしぃ。

愛は、みんなに愛されたいの!

そのためには、早く二人の警戒心を取ってあげなきゃいけないよねぇ?


じゃあ。

「小十郎!一緒に行こぉ?」



まずは小十郎を堕とそうかなぁ?


◆◆◆



あの女が右目の旦那の服を買ってくる。

やっぱり袴とかじゃなくて奇妙な衣。

右目の旦那がどう着るのかを観察しつつ、言葉を交わした。


「不本意だが…政宗様を頼むぞ、猿」
「猿じゃないってば。まぁ、うちの旦那の次くらいには見ててあげるからさ」



右目の旦那は正常で、警戒心もあったし竜の旦那至上主義だったから、心(なーんて俺様にあるか知らないけど)の何処かで安心してたのかもしれない。

だから、ちょっと衝撃受けちゃったなー。





帰ってきた時、右目の旦那が他の旦那同様おかしくなってたことに、さ。







買ってきた南蛮の奇妙な服に付いている『たぐ』とかいうのを適当に苦無で切り離しながら、ちらりと目を向ける。

甘ったるい声と臭いの女に、そこに群がる男達。

あれがそれぞれ一騎当千の武将達だなんて誰が信じるだろう。
てか旦那ぁ…。いつもの『破廉恥』はどこいったのさ。
さっき一回言ってたけどさ、その女、着替えて更に露出多くなってるよ?
旦那の『破廉恥』の基準が判らないよ、俺様…。

あ、あと右目の旦那の笑顔が気持ち悪い。
いや別に、笑顔自体はいいけどさ、それが右目の旦那っていうのがねー。
ついさっきまで警戒心バリバリだったはずなのに、帰って来たと思ったら笑顔で警戒心皆無って、気持ち悪くない?
まるで狐か狸にでも化かされたみたいだよ。



ぷちん。ぷちん。

つるつるしてる奇妙な『たぐ』を切る。


さっさと終わらせて、着替えて、外の様子を確認しておかないと。
あ、でも旦那は俺様の分身見抜くからなー。勝手に外出たらばれちゃう?
いやむしろ俺様の分身を見抜けるならまだ完全な腑抜けじゃないか。………旦那、そこまで腑抜てないよね?


俺がしっかりしなきゃ。
旦那達はおかしくって、右目の旦那も当てにできない。
真田の旦那だけでも無事に甲斐に返さなきゃいけないんだから。


あぁ、でも、この屋敷を見ただけでも得体の知れないモノばっかりだったなー。
外も最早別世界だったし。

ちょーっと面倒な任務だね。

真田の旦那は化かされてて、別世界で、帰り方も分からない。おまけに向こうも化かされているとはいえ、一緒にいるのは敵国の武将。

これで帰れたら俺様の給料上げてくれても良いよねー?


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