「おう黒子、起きたか」


ぱちっと目を開けると、火神君が目の前にいた。そう言えば昨日は火神君の家に泊まってDVDを見て、ボクは眠くなって先に寝てしまったんだ。そんなことを頭の片隅に思い出した。


「うお、お前泣いてんの!?」
「ぇ……」


そう指摘され目許に触れると、ぽろぽろと涙が溢れた。なぜ自分が泣いているのか全く分からないけれど、どうしてか心が痛くて、だけど、それを不快とは思わなかった。


「長い夢を、見ていた気がします」
「夢?」


とても楽しくて、だけどそれが幸せとは思えなかった。そんな夢を見ていた気がする。火神君はそうかそうかと笑っていた。そんな火神君の笑顔を見ていたら、不思議と心が軽くなった。


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テーマ「人外ファンタジー」
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