「むっくんの妹さん…?いたんだ…」
「うん。撫子ちん。ずーっとお家でお菓子作ってくれる」
「へ、へえ。それでファッション誌がほしいって…?」
「うん、そーいうこと」
「じゃあこれあげるよ。今朝忙しくて……今日発売の雑誌を買ったつもりだったのに、前も同じの買ってたなあって」
一冊の雑誌をすっと渡されて受け取る。『わたし可愛いでしょ!』とでも主張したげな女の子の笑顔が表紙のものだ。
「ふーん、ありがと」
一応受け取って鞄に適当に放り込む。
「あの、さ。大ちゃんと出かけるんだよね、むっくんの妹さん」
「ん。峰ちんとでかけるんだって」
でも気分屋だから行かなくなるかもー?と首を傾げれば、桃ちんは複雑そうな顔をした。桃ちんもしかして峰ちんの事好きなのー?と冗談っぽく言うと、それは違うから、と真顔で言った。桃ちんは黒ちん一筋らしいよ。
「じゃあどうしたの?」
「ちょっと心配になっちゃって」
「はあ?」
「大ちゃんぶっきら棒だから、その、妹さんのこと傷つけたりしたらどうしようって、」
桃ちんはそれ以上何も言わない。変なの、今日の桃ちん。
「こうなったら尾行よ尾行!」
「そうだな、尾行しよう」
桃ちんの背後からすっと現れたのは赤ちんだった。桃ちんめっちゃびびってて面白い。
「悪趣味ー。ストーカーじゃん」
「いいじゃないか、紫原。なあ桃井、行くよな」
こくこく首を縦に振る桃ちん。赤ちんはそれを確認すると、それじゃあその他諸々待ち合わせなどは随時連絡してくれ紫原、と言って教室を出て行った。相変わらず赤ちんはあざといなあ。
びくびく震える桃ちんの額にデコピンして自分の席に戻った。

ジュリエットのストーカー
20121229
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