さっきからううーと唸り続ける俺の妹は部屋の中で多分うずくまってる。
「撫子ちんどうしたのー」
「お兄ちゃんどうしよー」
部屋の戸を開けるとゲームとか漫画が散らばった部屋の中でうずくまった彼女がいた。パソコンが近くにあって、画面は服とかいろいろ画像がのってた。
「どうしたのー?」
「ケーキは食べたいけど外に出たくない」
「じゃあ行かなきゃいーじゃん」
「でもさっきの青峰が言ってたケーキ屋さんってすっごく有名なとこなの!美味しそうだったの!」
「ふーん、じゃあ行けばいーじゃん」
「でもね、わたし服がないの」
一瞬、今着てるのでいーじゃん、と言いそうになったが、彼女が今着てるのは俺のTシャツに短パン。たぼたぼで片方の肩が見えてる。勝手に着てるし。
「じゃあ前の年のとかはー?」
「この頃きついの」
「じゃあ買えばいいじゃん通販で」
「でもー流行とかわかんないし」
そうだなあ、と首をかしげる。ポケットの中の板チョコの銀紙を破きながらどうしよー、と思ってると彼女は再びうずくまった。小さくなっちゃって。ダンゴムシみたい。
「いいじゃん、好きなの着たら」
「ドン引きされたら嫌だ」
「じゃあ明日コンビニで雑誌買ってきてあげるよー」
「本当!?」
ぱあっと明るい表情で彼女は顔を上げた。
やっぱ俺は妹に甘いなあーなんて思いながらチョコをかじった。

レースの変域
20121025
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