お兄ちゃんが可愛い雑誌を手に入れてきた。それを見て「これとこれみたいなのー!」びしびしっと指をさす。次の日お兄ちゃんは部活のマネージャーさんに頼んでくれたようで、そのまた次の日には「ちょっと違うけどこれでいいかな?桃井」というメッセージカードつきの袋がきた。雑誌で見たのと同じ型で、雑誌で見たより可愛いものがきたから満足した。
そしてすぐに当日はきた。服を着て鏡の前でくるりと回る。
「に、似合う?」
「うん、撫子ちんなんでも似合うじゃん」
お兄ちゃんはにこりと笑った。
「で、なんでお兄ちゃん部活行ってないの?」
「今日はね、赤ちんにも用事が出来たから休みなんだってー」
「へえ、そうなんだ」
お兄ちゃんが外行き用の服を着ているのはおいといて、冷蔵庫からオレンジジュースを出したところでインターホンがなった。「撫子ちーん、峰ちんきだよー」心臓がはねた。服似合ってないとか言われないかな。どきどきしながら顔をひょっこり玄関に出すと、ラフそうな格好をした青峰がいた。
「そんじゃー行っておいでー」
「う、うん、いってきます」
昨日届いたばかりの靴をはいて久々にふんだ土はなんとも言えない感覚だった。ちょっと違うけど言うならばアンネ・フランクになったような感じ。
「青峰、どうやっていくの?」
「歩いてバス乗って、って感じだよ。あ、ええっと、」
青峰は目を逸らして口もとを大きな手でおおった。わたしは黙って次の言葉をまつ。
「か……」か?と首をかしげると、彼はぶんぶん首をふった。
「に、似合ってるそれ」
顔を真っ赤にさせて「ありがと」と言うと彼は若干速度を速めて「置いてくぞ!」と言った。

メーデーですよ
20130109
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