「真希乃ちん真希乃ちん、」
ぼうっとスーパーの前に立つ彼女に声をかけた。待ち合わせ場所のスーパー前。彼女はぼうっと携帯の画面を見つめていて、俺が話しかけたらすぐに笑った。
「さあ材料買いに行こうか」
彼女の小さな歩幅に合わせるのは大変である。彼女の隣を歩きたい気分なのに気付いたら一歩前。だからちょっとスローモーションに歩く。
材料のコーナーまできて業務用のブロックチョコだったり、小麦粉だったり、いろいろかごに入れていく。勿論俺がかごを持って、彼女が材料を選ぶ係り。
「真希乃ちんのお菓子ってあんまりトッピングないよねー」
「うん、なんか面倒だし、トッピングが舌に触って嫌な時があるからあんまりしないけど、ほしい?」
俺は首を振った。
「真希乃ちんのお菓子がいい」
正直に言ったのに彼女は少し頬を赤くしてぷいっとそっぽ向いた。なんでだろう、と首をかしげると、彼女は「ほらはやく」と、踵をめぐらせた。
レジの前においてある期間限定のポテチが美味しそうでかごに入れたら「今からお菓子作るのにお菓子買うなんて変なの」と笑われた。真希乃ちんのさっきの態度の方がよっぽど変だし。

ああこれだから
20121031
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -