いつもお菓子のにおいをさせた女の子がいる。
その子のお弁当はいつもケーキで、休み時間はいつも何かお菓子を食べている。ずっと一人で何かを食べている子。気が合いそうで話しかけたいのだが、その子はお菓子を食べるのに夢中でそれを見ることが俺の楽しみなのである。
「ね、君、いっつも何食べてるの?」
思い切って話しかけると彼女は袋をずいっと俺のほうに向けた。食べて、ということだろう。
「じゃ、一つ貰うよ」
クッキーは美味しかった。しかも今までに食べたクッキーよりも断然。
「美味しい」
「でしょ。私、デザート研究部なんだ」
にこりと笑う彼女。緑色の髪の毛が揺れて、めがねの向こうの瞳が笑う。
「私、緑間真希乃。知ってると思うけど、バスケ部に双子の兄がいます。紫原くんでしょ?知ってるよ」
「へえ、」
もう一個、とクッキーを貰う。本当に美味しいのだ。好みの味なのだ。ココア味がとても美味しい。
「ねえ、明日から俺のも作ってきてよ。俺もお菓子食べたい」
「紫原くんはいつもスナック菓子食べてるでしょ、要らないんじゃない?」
「真希乃ちんのが食べたい」
ぺろりと指を舐めていうと彼女は首をかしげて「じゃあ一日二百円で作ってきてあげてもいいよ」と言った。現金な女の子である。
「わかった、じゃあ明日からよろしく」
「うん、わかった」

「ということがあって真希乃ちんからお菓子もらえるんだー」
「真希乃は何を考えているんだ」
はあ、と溜息を吐くミドちん。なんだか真希乃ちんと俺の交流を良く思ってない感じだ。つまりミドちんはシスコンなのかな。

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20120817
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