図書室で、朝学校に行ってから夕方お兄ちゃんと帰るまでを過ごす。クラスになじめないとかそんなんじゃないけど、教室にいるのは嫌いなのです。
お兄ちゃんのことは好きだけど、そのことで相談されたり手紙を渡せといわれたり、そんな人間関係が面倒くさくてずっとここにいる。図書室の司書室は私の部屋となっていた。
ある日、朝、図書室で新刊を読んでいた。いつもは司書室にいるのだが、たまには外で読むのも悪くない、と読んでいるとある男の子に声をかけられた。
「あの、」
気配が薄く、弱弱しい、そんな男の子。
「何でしょうか」
「赤司くんの妹さんですよね」
またこのパターンか。次はおにいちゃん、男の子からラブレター貰うの?と思っていると彼は薄幸そうに笑った。
「はじめまして、黒子です。その本、いつ頃までに読めますか?」
「え、あの、はじめまして、幸です。これならもう読めましたよ」
嘘だった。本当はまだ八割しか読んでいない。黒子くんはそう言うと「本当ですか」と少し目を輝かせた。
「よろしければお貸ししますよ」
そう言うと彼は「ありがとうございます」と言って本と受け取った。私はなんだかこの人との縁が再び欲しくて、「もう一度読みたいので読み終わったらあの、司書室にいると思うので持ってきてくださいませんか?」と訊いてしまった。すると彼は「はい」と頷いた。
「それでは、幸さん」
手を振る黒子くんはなんだか素敵だった。お兄ちゃんの知り合いかな、と頭を働かせていると、彼の持っているエナメルバックにバスケのマークが入っていることに気づいてバスケ部の人かあ、と思った。
「黒子、くん」
なんだか仲良くなれそうにないけど、仲良くなりたい人だなあ。

図書室の幽霊
20120815
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