インターホンがなって、お母さんにいってきます、と挨拶する。お兄ちゃんは既に靴をはいていて、玄関を出て門をくぐると彼が立っていた。
「おはようございます」
ふんわりと笑った黒子くんの前髪が揺れた。わたしもおはようって挨拶をして、お兄ちゃんも挨拶をする。今日も朝日が気持ちいい。お兄ちゃん、私、黒子くんの順番で並んで登校する。
と、うしろから「幸ちゃーん!」と声がして振り返るとさつきちゃんと青峰くんっていう人が立っていた。今日はとても大勢で登校だ。
体育館の近くまで行って、今日は朝練見学させてって頼んだら快くOKしてくれた。
それで体育館の中で彼の姿を見つめる。今日も彼は一生懸命頑張っていて格好いい。お兄ちゃんもすごいけど、黒子くんには違ったすごさがあるなあと思った。
練習が終わって教室に行く途中、黒子くんが忘れ物をしたとかで、私もついていく事にした。
「付き合わせてしまってすみません」
「いいの、黒子くんの隣にいたいし、ね」
私がそう言うと彼は「嬉しいです」と微笑んだ。
「幸さんは高校、赤司くんについていくんですか?」
「ううん、まだ迷ってるの。お兄ちゃんについていこうと思ったけど、わたしは黒子くんと一緒にいたいの」
「じゃあ一緒に誠凛高校、行きませんか?」
黒子くんは不安そうに眉を寄せてわたしに言った。
「うん、是非一緒にいさせて」
もうチャイムのなる直前で、だれもいない部室棟の前で私は黒子くんに笑うと、彼は触れるだけのキスをした。御礼です、だって。顔が真っ赤になるのがわかる。
「これからもずっと一緒にいたい」
「僕からも、よろしくお願いします」
水色の声が空に融けていった。
まだ真新しいわたしのこころがどんどん彼へと惹かれてく。
未熟者だけどよろしくねって心の中で呟いた。

不死鳥
(わたしのこころはあなたのなかで死なない)
20121021
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