(桃井視点)
教室に入ってきたテツくんの隣の女の子に一瞬驚いた。赤司くんと同じ顔の子が入ってきたから。
さらさらの赤い髪に長い睫毛。透き通った目の色にピンクの唇。わたしの今まで出会った女の子の中で一番、ううん、いままで見てきた人たちの中で一番綺麗な子だって思った。
てっきり教室に来ない優遇を受けた人かと思ってた。だからきた事にすごく驚いた。反射的にテツくんに概要を聞こうとして話しかけて、彼女が隠れた時には嫌われたのかと思ったけれど握手を求めてきた時は本当に嬉しくてつい力が篭ってしまった。大ちゃんにいつも力の入れすぎで怒られるのにって、ほっそりとした腕が折れないか本当に心配になった。
いつもテストの順位の一番上と二番目には赤司の文字。でも征十郎という名前ではなく幸という名前が一番上に入っていたものだから、てっきり我が道を行く女王様タイプの女の子かと思いきや、本当にお淑やかで可愛くて、常識を知っている優しい子だった。
その日一日彼女は教室で授業を受け、黒子くんにべったりくっついていたけれど私を中心に他の子たちにも愛想良く振舞っていた。でも少しだけ、距離をおいた感じの子。
「桃井、その」
赤司くんが放課後私に話しかけてきた。
「なあに」
「幸は、どうだった?」
「テツくんに訊かないの…?」
黒子には訊けないよ、と少し不貞腐れて言った。
「すごくいい子だったよ。今まで学校来てなかった事に吃驚!私ともお話したし…明日も来たらいいのになあ」
「そうか、ならいい」
「赤司くん…?」
「今の事は忘れて」
赤司くんの言う事は絶対、だから今の会話について深く考えるのをやめた。
明日も幸ちゃん、学校来るのかなあ。

真っ赤なお人形の目
20121021
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