目が覚めると彼の首が目の前にあって、密着した私の体が離れないようにガッチリ黒子くんの中に埋もれていた。ああ、昨日から私は黒子くんの家の子なんだっけ、とまだ眠い目を擦る。彼も私が動くから起きたらしく、ゆっくりと重そうな瞼を半分開いて、私と目が合った。
「おはよう黒子くん」
「……おはようございます」
ちょっとだけビビッたみたいで、私を抱きしめる腕の力を緩めた。だから私は黒子くんの腕からすっぽり抜け、「洗面所借りるね」とベッドを出た。が、腕をひしと掴まれた。彼の後ろに見えた時計が午前五時を示していた。
「えっと、黒子くん」
「幸さん、昨日の夜僕の言った意味、わかってますか?」
――――――ボクも幸さんのこと大好きです。だから救いたい。
昨日聞かされた言葉が耳の中を擽った。顔がぼおっと赤くなってしまう。
「わたし、黒子くんのかのじょ?」
「はい、僕は幸さんのかれしです」
腕が離されて少しふらりとする。しかしすぐに体勢を立て直し洗面所へと急ぐ。ああ、なんだかこんなこと、今までに経験したことないぐらいだ。心地いいけどすごくくすぐったい。
頬がいつもと同じに戻るまで一人でいて、直ってすぐにリビングに行くと黒子くんがトーストとジャム、サラダ、コーンスープを用意している最中だった。
「ごめんなさい、何も手伝わないで…」
「いいんですよ、座って、早く食べましょう。冷めてしまいます」
彼の前の椅子を引いて座り、挨拶をして朝食を食べる。
ああこんなにも清清しい朝は何年ぶりだろうか。

本当の意味をまだ知らない
20121012
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