一週間私は黒子くんに貰われました。

「黒子くん、私は今からどうするの?」
そう訊くと黒子くんはにっこり笑って「ご飯を作ります」と言った。黒子くんは両親が旅行中で、私と黒子くんは黒子家に二人きりになった。台所はとても静かで、リビングにはずらりと本が並んでいた。
「カレーを作ります」
野菜を切ってください、とニンジンを渡される。目の前には2セットの包丁とまな板が置いてあって黒子くんはたまねぎをリズミカルに切っている。
黒子くん、料理とかよくするのかなあ、と思いながらぎこちなく包丁を扱う。あまり自分で料理をしないためか、女子としてはできないほうである。
「大丈夫ですよ、怪我しませんから」
黒子くんがふわりと笑った。
この人にならこころを許せる、そんな気がした。
そのままじゃがいもとかお肉を切って炒め、煮込んでいく。
ぐつぐつ煮込みながら話したことはすごくどうでもいいことで、すごく普通の事だったけれど、私は何年か振りにこの夜、泣かなかった。

泣かないおまじない
20121002
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