授業をサボって普段は開いていない屋上の手前のドアのところで話そうということになり、到着するなり先ほど幸さんから聞いた内容を包み隠さず赤司くんに話しました。赤司くんはいつもは隠している感情を少しだけさらけ出しながら黙ってそれを聞きました。ついに、ポーカーフェイスを崩しました。
「そんなに幸が弱いわけないんだっ」
「幸さんはあなたの予想をはるかに超えるくらい、弱い人です。赤司くんは、本当は気付いていたのに気付かないフリをしてきたんじゃないですか?」
「おまえに何がわかる」
「赤司くんは常に自分が正しいと思っているから、という推測です。本当は気付いていたんでしょう?」
「………かもな」
はじめて、彼が泣きそうになるのを見ました。負けたことのない、常に勝ち続けてきた彼。無敗の彼の瞳に涙が滲みます。
「謝ったってもう遅いんですよ」
「わかってるから、どうしたらいいか解らないんだ。幸に嫌われたくない」
「嫌われなんかしないと思いますが、このままがいいとはけっして思いません」
「何か考えがあるのか?」
「よかったら」
一週間彼女を僕にください
そう言うと、彼は目を見開いて逸らし、「それでどうにかなるのなら」と弱弱しい声で言った。彼の弱いところを見たのはこれが最初で最後になるでしょう。

解っていたのになんであなたはそれを愛だと思ったのですか
20120926
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