黄瀬視点
帰りに律子と手を繋いで並んで歩く。それが日課だ。今日もお互いのクラスのことだったり、今夜ある楽しみにしていたテレビ番組についてだったり、くだらない事を話しながら帰る。途中でコンビニに寄って、お弁当とお菓子、それからアイスを買う。彼女は珍しくシャーベット系のアイスを買った。いつもスーパーなんちゃらのチョコチップを買うのに。それから俺がお金を払って家までの道をアイスを食べながら歩く。少し肌寒いがアイスは美味しい。
「今日は本当にごめん、」
俺がそう小さく呟くと彼女は目をまんまるにして俺の言葉に首を振った。
「お兄ちゃんは私のためを思ってバスケ部のマネージャーに誘ってくれたんだもん!誰も悪くないよ!」
「ありがとな、律子っち」
笑顔を見せると彼女も笑顔になった。律子はすごく単純な子だ。そそっかしくて、信じやすくて。だから守ってやらなきゃいけないって俺は兄としての使命感を感じている。彼女はアイスをぱくりと食べて「んー!冷たい!」と頭を抑えた。俺とは普通に接することができるのいなあ。
「律子っち、辞めたくなったら辞めていいっスよ?バスケ部マネージャー」
その言葉にアイスを食べ終えた律子は俺の腹を殴ってきた。
「もう、お兄ちゃんは馬鹿なんだから!私、頑張るって決めたの!お兄ちゃんの勧めてくれた事だし、少しでもこの性格が治るんなら私、一生懸命頑張る。治るって保証はないかもしれないけど、私、いつまでもおにいちゃんに甘えてちゃダメだもん」
「律子っち可愛い」
俺もアイスを食べ終えて彼女を抱きしめると彼女は「えへへ」と笑った。
「それにさ、赤司くんっていう人、優しいよ。あの人は大丈夫。顔も厳つくないし、どっちかというと女顔っぽいし、さつきちゃんもいるし」
「女顔なんて恐ろしい事言ったら殺されるっスよ」
彼女がその言葉に「そうなんだー」と興味無さそうに答えた後通行人の咳払いで離れた。
「お兄ちゃん、私頑張る!」
「じゃあ俺も全力でフォローするっス!」
イエーイ、とハイタッチして家まで歩く。

彼女のこういう単純なところが俺は好きだし、守ってあげたくなる。
辞めたくならない
20120818
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