赤司視点
「ごめん、律子っち。スタメンだけだけど、みんなに男性恐怖症ってこと、バスケ部のマネージャーになったこと、言っちゃったんだ」
しゅんとする黄瀬に律子は「いいの、おにいちゃん」と頭をなでた。謝るだけの黄瀬に彼女は大丈夫だから、と笑って言う。体育館に入るとスタメン以外もいて、桃井がすぐに律子に駆け寄ってきたから僕はメンバーのほうへ行って「今日はもう自主練だから帰っていいよ」と言った。
結局残ったのはいつもの六人とマネージャー二名。他はテスト前だから、と帰っていった。賢明な判断だ。
彼女に目をやると、桃井と楽しそうに話していた。だがそこに青峰が近づくのが見えた。黄瀬も僕も慌ててやつのところに向かう。また何かしでかしたら困る、と。
「ごめん」
青峰は頭を下げた。彼女から約三メートル離れている。
「本当に、ごめん」
「いいよ、気にしないで」
そういった律子の顔に笑顔はなく少し暗い表情だった。青峰は顔を上げて数歩下がった。
「ありがとう。…これからは気をつける。俺、お前にそういう目とか絶対向けないし、その、なるべく普通に接して欲しい」
青峰の真っ直ぐとした表情に彼女は少し笑って、「そんな堅苦しく言わなくてもよかったのに、大丈夫、気にしないで」と言った。黄瀬は胸を撫で下ろし、僕も同じく安心した。
「律子、」
呼びかけると彼女は俺を見た。最初のようにびくびくした感じはない。
「なに?赤司くん」
「今日は黄瀬と先に帰っていいよ。みんなも解散しようか」

彼女が少し笑ったように見えたのは僕だけだろうか。
励まされて立ち直る
20120816
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